南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

手が言うことを聞かない

本格的に中国語の復習を始めた。が、パソコン病なのか、シャープペンシルを握って文字を正常に書けない。とくに日本語が酷い。これはヤバい。平仮名が汚い。昔PCで講義メモをとっていたころ、試験のときにいざ解答を書こうとして手が震えたのを思い出す。書いているうちに感覚が戻ってくるのだが、最初は自分の手かと疑うほど勢いのない字が出てくる。またそういう字に対して嫌悪感を抱くのが、小中高と10年余り書道をやってきた人間の苦しみである。とにかくこの1ヶ月弱、手書きを習慣にしないといけない。大学時もそういう事件があってから、なるべくノートでとれるものはノート中心にしてきた。実はそのほうが身に入るからでもある。
だいたい日本語が正常に書けない日本人など、中国で現地人に日本語を教える機会もあろう留学生にとって致命的欠陥なのじゃないか。簡体字などにしなくても、母語識字率が非常に高い誇るべき日本国民の能力が、自らの生み出したワープロによって衰退していくとしたら、簡体字ピンインをつけてまでキーボードに順応していく中国人が同じ道を辿ってもおかしくない。便利さは誇りだけでない、自らそのものの存在すら奪っていく。それを自覚し、技術が最先端を行くなかにあっても、ハンドライティングにおける識字能力を保持していく姿を示せない日本人ほど情けないものはない。ということをキーボードで打っている自分は一体どうなのか。
別にIT排斥じゃないからね。両立だから。