南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

ソーリの気持ち

Nanjai2004-05-01
 イラクにおける日本人拉致事件に関する第一稿です。はっきり申し上げますと、筆者は現時点では何もいえません。武装グループの決めた3日間が経過して何らかの結果が出てから、本格的に稿を出すつもりです。現時点で不覚なことを申し上げるわけには行きません。初めてこの事件の一報を知った9日の午前2時からうやむやとしたモノが脳中を駆け巡り、如何としても纏まりません。お許しのほどを。
 アサヒの第一報は8日の午後4時となっていたはずだが、日本政府の3日間の計算は午後9時からとなっている。数時間の誤解が人命の如何に関わるとすると、誤差でも危険。
 小泉総理大臣は、被害者の家族とはどうしても会わない、ということで、不信感を募らせている巷。川口外務大臣とは面会したものの「全力を尽くす」としか返答をもらえなかった家族ら。放映から丸2日たって、やっとヨルダンに現地対策本部を設置した政府。この事件を受けて、最も苦しい立場に立たされたのは、他でもなく小泉総理である。被害者の家族に面会しない彼の気持ちが推測できる。
 アメリカとの同盟関係の堅持は事実には違いないが、ここでは先に走らない。彼が自衛隊派遣を推進するのは、イラクにフセイン政権が倒れた後の安定した治安を確保するための活動を行うこと、にある。それはアメリカの行ったイラク戦争を支持し、イラク国土を荒廃させた責任を負うものであり、日本が当然為すべき行為である。さらに、小泉総理自身のビジョンが加わる。それは日本が国際社会の中でいかなる場所に位置し(場所というのは地球上のではなく、国際的立場)、その中で国民にどのような責任があり、どのような利害があるかを、全国民が知るべきだということだ。だから以前にも「国民はテロと戦う覚悟がある、と思っている」と発言し、テロに反対する国民としての責務を示したのだ。今足掻いた処で、日米同盟の下に築かれた国際関係上の功罪は、元に戻せない。日本が世界の一国ならば、たとい暴力に自衛隊や市民が巻き込まれようとも、その立場における責務を全うしようではないか、というのが彼のビジョンだ。それは筆者も支持する。米・伊・ポーランドの兵士が死んで、日本人が被害にあわないのはおかしな話だ。が、国民の命を預かる指導者として、ビジョンを貫き通して良いものかどうか、苦しい選択を迫られるのだ。結:切腹しそうだ。【2004/04/10/PM】