南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

台湾国民中学歴史教科書の考察

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 (注:この稿は丸1年前から、「(大学の)憲法講に関する第2弾」として中途書きで放置されていたものを時制修正・校正したものである。)
 元来この台湾国民中学歴史教科書を調べる目的は、“台湾は日本の植民地ではなく、国土の一環であった”とする証拠として、台湾にも本土と同じ空襲・空爆が及んだかという事実を確認するためであった。台湾が植民地の認識におかれるならば、被害者である台湾を日本と同一視して空爆することはできない。戦後に日帝からの解放という神話を作るためには、日本に隷属する土地として海外からも扱うことが重要になるのではないか、と思われる。しかしながら、一方で第二次大戦中ドイツに占領されたフランスは、ノルマンディー上陸作戦など地理的に陸上戦が止むを得ないまでも、連合軍による解放のための戦火を浴びている。これを確認すべく、同書に挑んだ。
 ところが、結論は出ていない。確かに、台湾といえど中学生が自国の歴史を学ぶにあたって、米国の空襲が日本と同様にあったか否かなど、問題ではないわけだ。それよりも、中国本土の国史を、ほとんど無縁でありながら学ばせ続けるよりも、台湾島の土地・民族・宗教・習俗と歴史を、日本統治時代(「植民地」と悲観的に偏向して呼ばないところが重要)も含めて、中立的且つ客観的に説く教科書が出現したことが注目に値する。戦前日本の統治に関しても、植民地政策的扱い(産業基地・軍事基地としての利用、島民の強制労働など)を指摘する一方で、制度や産業基盤の育成、教育などの促進が、支配解放後の経済発展に貢献したことを功績として挙げている。疑問点は解消されなかったが、意外と全容すら把握していなかった台湾史を知る上で役立った。
※備考:先日の台湾旅行で利用したガイドブックにて、高雄市の説明書きの中に「第2次大戦末期に米軍の爆撃により壊滅的な打撃を受けたが、(略)」(ポケットガイド台湾2004年版 JTB)とあり、まったく存在しなかったということではないようである。
結:細部に囚われず、中立的且つ客観的な教科書であることがポイント。【2006/03/02/PM】