南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

周口-驻马店(Zhumadian)編1:驻马店汝南(Runan)(南海禅寺,天中山)

今回の河南ウォーク企画は、周口-驻马店編。开封や上海からはアクセスしづらく、長らく機会を窺っていた。周口(Zhoukou)と驻马店というダブルZも狙いの一つ*1。驻马店といえばエイズ村などで知られ、あまり好印象を持たれない農村地帯。前回许昌学院で会った同市出身の学生も言葉に詰まるほど、魅力が乏しいらしい。それなら自ら足を運んで発掘し、イメージを覆してやろうと。

驻马店入り

武汉(Wuhan)欢乐颂YH(开封帰郷旅行2017“Project Z”プロローグ)よりつづく)
7時10分頃には自由に出入りできると聞いていたので、静かに退房。階下ホテル前の包子店に通勤客が群がっていたけれども、朝食は駅構内売店の纯牛奶で済ます*2。最近は、主要駅では中国人の身分証と切符を自動読取機で検査できるらしく、外国人のような特殊利用客だけ人工通用口を抜ける。高铁などの新駅に多い開放型の待合ホールもそろそろ見慣れてきた。売店だけでなくカフェやレストランもあって休息できる。
快適な和谐号で、信阳より懐かしの河南省へ入境。定刻どおり到着した驻马店西站ホームの西側には、手つかずの田園風景が広がっている。思わず深呼吸してしまった。

鉄道線の東西では様相が一変し、駅前は高層住宅が林立する。外観のみとはいえ、市街域がここまで拡大していることを示す。

汝南へ

汝南行きのバスは中心站から出ているので、公交站で中心站を通る25路を見つけ乗車。車窓から市街を眺めたけど、まだまだ田舎臭いね。火车站や汽车站では大きな荷物の客が必ず乗降するので、下りそこなうことはない。企画上、起点の驻马店市とゴールの漯河市(4日)は乗継に限られてしまい、この程度の視察しかできないのは残念ではある。
市のメインターミナルにしては小規模と思える中心站。ここで衝撃的な現実に直面する。今年3月から、長距離バスの切符購入および乗車にも身分証提示が必要となる実名制が導入されていたのだ。高铁を含む中国鉄路では実名制が採用されて既に5年以上経過しているが、長途バスにまで管制の網がかかってきたか。高飛びするわけじゃないが身分を明かさず気ままに移動できる手段として、鉄路実名制以降も重宝していたのにな。自由奔放な外国人には面倒くさいシステムとなったものだ。尤も本編で7回生じた都市間バス移動のうち、正しく実名印字切符を購入したのは2回だけである。掻いくぐりたい意識もなかったわけではない。
ここはともかく素直にパスポートを提示して切符(10元)を手に入れる。rǔ の発音を2声と誤って售票员に半ギレで何度も聞き返された*3。鉄路と同様の厳しい身検では、検査台でペットボトルを取り出させ一口飲めという。要は自分で毒見せよと(笑。待合場で発車時刻までしばし佇むも、改札の外に停車する発車間際のバス群に汝南行きは一向に表れない。仕方なく場内に入るとたちまち車掌が集ってきて、一人に切符を見せると「汝南ごときに切符なんか買ったの」と呆れながら新蔡(Xincai)行きのイヴェコへ乗せられる。方角的にやや怪しいが、汝南县城のどこかに寄ってくれるのだろう。
郊外の省道は改修中で凄まじい悪路だった。車中も砂っぽくて先ほどの和谐号とは雲泥の差だ。汝南が近づくころ一本の河を渡る。ハッとして左手を振り返ると、案の定大きな水面が望めた。河南省有数の湖、宿鸭湖(Suyahu、すがもこ)である。县城からやや遠いので、時間に余裕があれば遊覧したいと思っていた。沿道では新鮮な?淡水蟹を販売している。汝南の市中に入り、大きな交差点で降車。斜め向かいに汝南汽车站がある。县城のメインストリートである南海大道と梁祝大道が交わるこの交差点が、汝南滞在の拠点となる。

ソーセージ入り鸡蛋灌饼で昼飯。城乡汽车站口に居た水洛馍も気になる。

南海禅寺

寺は南海大道に面している。顺河?沿いを歩いていくと城門が現れる。
 天中门
ところが、そのまま行き着いた寺の北山门は工事中で、西ゲートから入れという。やむなく天中门まで戻り古塔路を南進。すると、真新しい游客中心などがある広場へ至る。ちなみに古塔というのは門前の公園内にある悟颖塔のことらしい。

観覧料は公示の半額以下で20元。既に冬季料金へ突入しているのらしい。
 
景区を囲む城壁状の塀は大门よりも古く感じられるが、旧市街の城壁とは無関係である。南は能仁学校の通用門となっている。ここから南向きの寺院門前までユニークな羅漢像などが点在する園内道路。观光电动车でも結ばれている。
 
沿道では僧侶らが草木の手入れをしている。
 合作门(山門)。
 豪華絢爛な楼閣の钟楼。
 観音像。天井の極彩色で凝った細工が印象的。
11月初旬の割には暖かな陽気に、汝南の町を囲むように曲がりくねった汝河の畔で伝統楽器の音色を聴きながらマッタリ*4
 閉まった売店の横に自販機があると、日本では廃れた観光地のイメージとなるが、ここでは意味合いが違うw
 セクシーな天女が刻まれた世纪和平钟楼の土台。
ゆっくり過ごしてもまだ15時。

汝南县城

北郊の天中山も十分歩いて行けそうな時間なので、街中を突っ切って向かう。天中门から老城に入ると、老舗らしい薬屋などが目につく。この天中大道と汝宁大街の十字路を中心に賑やかな繁華街を形成している。趣味で研究している三輪乗用車と街頭各所で遭遇でき嬉しかった。

 北城门。
トンネル内に男たちが屯していたので外側を迂回する。残されているのは城門部分だけで、両脇は自動車が普通に通れる。老城の外や汝河以北は高層団地の建設ラッシュが始まっている。

天中山

县城北端にある小山を中心とした公園。現在東半分は工事中で、商業化した庭園リゾートに生まれ変わる予定。天中山の名は中国の古文書《禹贡》にある“禹分天下为九州,豫为九州之中,汝为豫州之中,故为天中。”から取られている。書家顔真卿が自ら書いた「天中山」の碑文で知られる。
空腹を冰红茶一気飲みで宥めて散策。
 紅葉なのか、枯れてるのか分からない並木道。

 天中柱。
竹林の奥にある書画芸術研究院は閉鎖中。大きな池では人民が水泳や釣りを楽しむ。

天中宾馆

18時ごろ「拠点」へ戻り、まずは晩飯の烩面。8元と10元のどっちか聞かれたので8元と答えたけど、10元だったら具沢山のトマトスープだったのかな、と少し悔やむ。汝南汽车站は夕刻を過ぎると人が激減する。遅くまで往来するのは正阳(Zhengyang)行きくらいだ。
さて、どこ泊まろうかなと汽车站対面付近を歩きかけたら、速攻で姐さんに捕まった。パスポートを提示すると全然見たことないらしく、これでは登記できないとどこかへ連れていく。てっきりコピーでもとるのかと思いきや、数軒隣の公安局だった!! 既に休養中の警官が不機嫌そうに出てきて尋問する。どうやってここへ来たのか聞くので、上海での入境印や今朝乗ってきた高铁の使用済み切符を見せながら道筋を説明する。ちゃんと観光目的であることも伝えた。少しでも不安げな口調を見せると訝しがったが、かつて开封に留学していた旨を話すや無罪放免、「泊めてやれ」と姐さんに指示した。コレクションの使用済み火车票がこんなところで役立つとは思わなかったよ。今思えば、前回2014年の新乡で公安に連れてかれたときも、実はこんな結末だったのかな。
ともかく、私の従姉似で明るい笑顔の姐さんは写メで登記し、宿代65元と押金35元の計100元を受け取ると部屋へ通してくれた。これが本旅行期間中の6泊で最も優良な一室である。何といっても石鹸とシャンプー付きで温かいシャワーを浴びられることが、この上なく有難かった。レバーの微小な角度と気まぐれで変わる水温は、留学生楼のシャワーを懐かしませる。宿でテレビを観たのもここだけ。河南初日は县城2点をきっちり回れて上出来。

周口-驻马店編2:驻马店上蔡(Shangcai)蔡国故城へつづく)

(map:驻马店汝南南海禅寺)

*1:タイトルの周口にピンインが付かないのは、2012年鹿邑で既出のため

*2:今回は小銭調整などのため、よく纯牛奶を買った。中国の牛乳はヨーグルトより割高だが、濃厚で甘い

*3:舞钢(Wugang)などと聞き違われた

*4:うっかり日本の株価市況を見てしまい、気分を害する場面も