南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

喫煙スペースでは、ふだん話せない人と話せる

通学中、車内で見つけたポスターの文句。なかなか深い文句だ。

ひとつには、喫煙者の喫煙ルームへの誘導。すなわち分煙だ。路上で吸いたい人、職場で吸いたい人、気ままに吸いたい人を、禁煙者や嫌煙者から隔離するための売り文句。喫煙所のメリット。

ふたつには、喫煙のさりげない奨励。これは、「ここではタバコを吸うな」という禁止条項ではなく、肯定的・積極的な文句によって、喫煙そのものを否定・排除しないことが逆説的に喫煙広告へと化す。

みっつには、人間的交流。学生など若い年代層には例外が生じるかもしれないが、長年喫煙を日常としながら仕事をこなしてきた職人や水商売系の方々が、一番普段の堅苦しく陰険な姿を解放させ、穏やかな人間的趣きを醸してくれるのが、喫煙タイム。「ふだん話せない人と話せる」という文句は、禁煙者・嫌煙者の喫煙に対する理解と協調をも促す意味をもつ。