南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

上海(Shanghai) 御墅名邸国际酒店、静安寺、玉佛禅寺

ま、そんなわけで、火曜の朝郑州新郑国际机场*1から飛び立つ。この空港は私が初めて河南に降り立ったところ(07年08月29日)だが、生憎の事件のため心中落ち着きはなく、搭乗ゲートはセントレア並に新しくきれいで、建物を出て振り返ると小牧空港のように古臭いコンクリートの壁があったように記憶している。ところが実際今回こっちから乗ってみると、全面的に新品で好看なのに驚かされた。思わず、素晴らしい、を連発してしまう。これはちょっとカメラを持ってくるべきだった。何せ私の帰るときもたぶんまた鉄路だろうから。残念。搭乗手続きの際、私の氏名の字母が誤っていて多少手間取った。
上海虹桥机场も2度目だ。到着ロビーは国内国際が1つになっている。サブ空港だからこれでいいのらしい。しばらくうろつくと、記憶が戻ってきた。空港からホテルまでは目と鼻の先だったが、荷物が多かったのでタクシーに乗り込むと「2時間も列に並んだのにこの距離は何だ」と嘆き罵りながら走ってくれた。それにしても、空港周辺をテリトリーとするはずのタクシーがホテル名を言われて通じないのは、あまりに遺憾ではないのか。もし石随さんのご夫人がホテルのHPコピーを持ってなかったら、あのアホはたどり着けなかったのだから。3キロでも数百メートルでも一回で11元稼げるんだから一々文句を言わないで走ってほしい。ここは田舎開封の初乗り5元タクシーではない、それだけに、ただ経済水準が高くて運賃もそれに応じている、のじゃなくて相応にサービスも向上していてもらわないと田舎もんの権利として5元で走ってもらうぞ、コノヤロー。それに上海の習慣なのか、開封より運転が荒っぽくて、これじゃ国際都市として多くの外国人を乗せるであろうタクシーに相応しくない。大都会が田舎もんの集まりなのは分かるが、都会は発達するにつれて洗練されてくるってのは甘い考えらしい。特にこの国、相変わらず田舎臭さを露わにしている。それでいて物価は高いってんじゃ、外資の逃げていくのもそう遠い話じゃないな。利潤だけ受け取って、自分は何も変えようとしないっつうのは順応力ではない。一時的な成金。
分かるかなぁ、日本人って一応さ、世界の最高水準の生活で育って海外へ出てるわけじゃない。即上海やら青島やら日本と僅差の大都会へ行ったら、それは多少文化や習慣の違う社会、ってことになるけど、今回の私の場合そうはならない。日本を出たら、まず河南。ここが中国のイメージ、中国理解の基本、基礎、底辺になる。その次に改革開放の最前線たる上海を見る。なんだ、河南と変わんねーじゃん。えらそーに高度成長の飯食ってるけど、精神的自覚ってものがちっともねーじゃん。そういうところまで読めちゃう。金銭的格差は大きいけれども、思ってること、やってることはちっとも変わらない。沿岸部だけで中国を見てる人には、河南は田舎で貧相なイメージだろう。就学率も低くて、思想もほとんどなくて、ただ自我だけが強い。こんなことは実は俺や外国人だけが言うんじゃない。学を受けられている中国人が言ってるんだ。口先だけで田舎を非難して、ところが自分だって向かう先は金を稼げるけどもその利益に見合っただけの自己を築けてないんじゃないのか。狼の皮をかぶるどころか、ちっとも被りきれないでちょっと濡れたくらい。持ってるのも持ってないのも差不多なんだよ。どんだけ持ってたってオツムの使い方は田舎もん意識なんだから。それがやっぱり行動に出ちゃう。ざまみろ。
ちょっとぶっちゃけちゃった。ホテルは私だけ一人高級なほうに泊まらされた。上のごとくここのタクシーはあんまり道知らずなので、空港に行く以外は乗らんほうがいい。と、引きこもりになった。さすが高級、無料で映画を見られる。ちょっとエロ気な2時間のを一本と、「日本沈没」(中国語字幕付、完全日本語)を暇つぶしに見て寝た。後者のほうは親から聞いていたとおり、設定があほみたいだね。あんまりマジに沈んでいくもんだから釣られて真剣に見ちゃったけど。ちなみに部屋に湯船はなかった。期待したのに。
朝は6時に起ききれなくて、結局見送りを放棄した(させられた?)。一応流しのタクシーで空港へ行って時間を潰し、一人むなしくマックを食って、上海駅へ行く。新たな地下鉄工事のせいか渋滞が激しい。当日中の硬座はもうなくて、初めて硬臥を買う。新幹線とほぼ同額になっちゃう。これも記念だ。もうひとつ、上海ぐらいでしか買えない記念、即ち磁気式切符。日本では当り前であるが。紙製のとほぼ同じ大きさで、バーコードが書いてないのと「中国鉄路」のデザインが印刷されていないのが異なる点。この切符のために、自動改札機も設置されているが、面白いのはこの磁気切符を機械を通さずに係員に見せても鋏を入れられることだ。今回は改札機を通したけれど、ネタで磁気切符に切込みを入れてみるのもいい。17時40分の列車なので、それまでにお寺を2つ観光してくる。
静安寺は金箔の煌びやかな寺で、大部分が改修中。花香料10元。名古屋の覚王山よりも寧ろ大須観音なぐらい街中にあって、名の通り寺院内は充分な静寂がとれる。寺の対面には地下鉄出入口とリンクした広場(と静安公園)があり、これも造りようによっては栄地下街のようになるので、工夫をしてバス停留所も取り込んでみて欲しい。この巨大都市上海にあってもバスターミナルが乏しいので先駈けとなるといいなぁ。
という、煩雑な停留所からバスに乗って市街を東に突っ切り、いつもの馄饨屋さんに昼を食べに行く。上海に来たら一度はこれを食べることになっている。冷凍食品なのだがいろんな野菜と肉を取り合わせた餡が豊富で、読める野菜名を選ぶ楽しみがあったり、水餃子みたいな厚皮が良かったり。この広大な街で店を探すのは面倒だし何より常に泊まるYHの近所としてマークされている。今日は萝卜(大根)鲜肉。
網の目のような市バスネットを読み込むのは至難の業。YH北の北京东路沿いから19路に乗って、これがピッタリ玉佛禅寺の前に着く。こういうルート計画を速やかにできると、都市観光は短時間でも楽しい。なのに車内で昼寝をして、一つ次の普陀路まで乗りすぎちゃう。表の壁が黄色く塗り染められた玉佛禅寺。19のバス通りには面していなくて、西へ一歩踏み入る。こちらは香花料20元。静安寺ほどメジャじゃないかと思いきや、案外外国人参観者も多かった。院内各所の仏様を廻って、右手奥の售票员にさらに10元払って玉佛を拝む。小銭が足りなくて駅に戻るバスに乗れなさそうだったので、人気のない瞬間に千手観音?に挟まれた信心深い人々の1元硬貨を5角硬貨とすりかえる。よくよく拝んでおかないと罰が当たるぞ。奥の池には鯉が群れており、餌を投げることもできる。右手には精進料理を食べられる食堂や書院がある。表通りには玉佛のみやげ物店がずらり。
長寿路に出てバスに乗り駅へ。寝てしまえば空腹もない、とゼリーを二つばかり軽食に買って、进站。この候车厅でMP3の故障に気づいたのは先の話。初卧铺で、中段はいい位置だと思った。上段だと消灯まで明るすぎるし、下段だとそのボックス利用者全員からいいように座られたりする。ベッドの上に靴とバッグを置くと、やや横になる空間が狭まるが、梯子ユーザーに頭を蹴られないよう、通路に足を向けて寝る(人民は逆)。
未明、まだ目覚ましも鳴らぬうちに、乗務員に起こされて下車準備をする。通路で待機していると、身分証の提示を求められ外国人とバレる。ついでに列車での初便所も記録しておいた。ほぼ定刻に开封に着いて終了。

*1:国際の名が付くが、現時点で国際便はない。おそらく香港を国際とみなしているようだ。