南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

北京(Beijing)莲花池(初の北京入境による开封帰郷旅行オープニング)

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はじめに―今回の开封帰郷を含む中国(主に河南)旅行の総括

今回の旅行の主な目的は3つ。一つはもちろん开封に帰ること。前回から1年内外と思いながら、また2年3ヶ月も経てしまった。2009年、2012年と同様、河南大学周辺の知人に会い、开封の街の変化、交通状況の変化を視察してKaifengLRT作成の参考にすること。二つには、2009年10月以来の郑州再訪だ。最たる目当ては、昨年末に開業したばかりの地下鉄試乗。私が留学を終える2009年初めごろから計画が本格化し、路線図などの資料を入手して注目していた。建設事故など多難を経て試験運転を始め、ようやく営業運転に切り替わったばかりだ。悲願の地下鉄開通を祝す日本人として是非乗っておきたい。また、これを機に郑州の馴染み深い場所を撮ったり、电车や郑开城际公交、建設途上とされる郑开城际铁路の現況を確認してきたい。
そして、今回最大のポイントは、タイトルに示したとおり北京入国による中国旅行だ。これまでは、ほぼ隔年という开封帰郷ペースのため、旅行期間の大部分を开封滞在に割いてきた。しかし回数を重ねるにつれ時間を持て余し始めたのと、前回寄り道企画で周口鹿邑観光に成功したことから、封印してきた河南ウォーク再開への欲求が高潮。开封滞在日数を最小限に抑えて、2,3日各地を巡るプランを幾つか作った。その過程で河南省へのアクセス方法として、距離的に近く活動範囲も広がる北京入国を試してみたくなった。従来の上海から阜阳経由で東部に入るコースだと南北の広がりが難しいのに対し、京广铁路を主軸にできる北京は多様な企画を組める。とくに2008年夏の安阳編以来ご無沙汰の黄河以北は、北京入境でなければ実現し得ない。今回は黄河以北を歩くことに重点を置き、A.安阳第二次編、B.济源編、C.阳谷・濮阳編の3つを用意した。どれを実施するかは入国当日、北京西駅で購入できる列車の切符次第というミステリーツアーだ。いずれも初日の夜に北京を発ち4日目の午後开封入りするよう計画されているが、ここでもう一つ重要なポイントがある。全プラン4日目の午前新乡に寄る設計となっている。これは2009年10月のとき既に目撃しながら今日まで乗車を果たせずにいる新开城际公交に乗るためだ。2008年02月に初めて行ったときから新乡には深い確執があり、日帰りで行けると踏んでいた辉县百泉が長途バスの不便さに阻まれて失敗した経験がある。40分間隔の流水システムができ運賃も当時よりは下がった現在、必ずリベンジしコースを確立しておきたいと強く思うのだ。
あらためて1週間の旅程を説明する。1日目北京より中国入国。2日目と3日目はミステリーツアー、4日目开封への移動日、5日目は开封でのんびり過ごし、6日目は郑州に遊び夕方から夜の列車で北京へ向かい、7日目帰国。北京帰還方法は当初开封または郑州発の列車で直行するつもりだったが、日本を出るときふと天津経由でもいいなと思った。それが実際に有効となる。ついでに今旅の総括をしてしまうと、北京ルートによる河南旅行は案外難しいものだなという印象を受けた。フライトも午前の直行便を選び午後2時に駅で購入できるよう最大限の努力を図ったにもかかわらず、比較的綿密に準備したA、Bプランの切符は買えず、Cプランでも最下位候補の列車しか取れなかった。乗車日当日に駅で座席を確保するのは上海ほど容易くないという結果だ。帰国時に空港にも代售处のあることを確認したが、どれだけ有効か未知数。出鼻からこの落胆に加え、全日程通しての酷暑と宿泊場所確保の難しさ*1から前半で相当疲弊し計画も乱れた。さらに开封では知人が激減しており、想定していた安息の場も満足になく寂しさを覚えた。終盤には救われる場面もあったが、全体を通して初めて中国で大きな疲労を味わった気がする。物価が急上昇し規制も厳しくなって、些か外国人に歩きづらくなったように思える。今後も河南ウォークを続けるつもりだが、自分の歳も踏まえて少し歩き方や考え方を再考する必要があるのかなと。
今回の旅行は統一したシリーズ名を付けず、記事の内容に応じて「全球大旅小旅」と「河南旅游集」に帰属させます。开封の都市変化と朋友再会結果については「ほんねとーく」で書く予定です。また、総括には述べていませんが、サブブログI Will Get Themのテーマ三轮摩托车(中国式三輪乗用車)のオリジナル画像収集を4日目に郑州中牟で行い、その結果を同ブログに載せています。以下、旅行関連記事一覧(仮題)。記事公開後にリンクを張ります。なお、河南ウォークのプラン名「阳谷・濮阳編」は帰国後、かつて河南省黄河以北と山東省の一部にまたがって存在した平原省より「平原編」と改称。他の2プランより移動範囲が広くちょうど同省の管轄域と一致するうえ、河南外の阳谷を包括するのに最適。

6月12日:北京莲花池(当記事)
6月13日:平原編1:聊城(Liaocheng)阳谷(Yanggu)景阳岗
     平原編2:濮阳再訪(古城路、戚城公园、龙苑)
6月14日:平原編3:濮阳县挥公陵
     平原編4:鹤壁(Hebi)浚县(Xunxian)浮丘山
6月15日:平原編5:新开城际公交
6月16日:许昌第三次
6月17日:郑州地铁(郑州2014年号)
6月18日:京津城际铁路

北京入り

去年の上海は全日空利用だったので、国航は2年ぶり。でも上海行きのような「落花生と水」のウェルカムサービスはなく、機内食コードシェアしている日航のものらしい日本人の口に合う味だった。対照的に乗客は中国人だらけで同胞は数えるほど。しかも空席多数。経済の中心でない首都便は両国関係を如実に表すのか。
首都国際空港第三ターミナルに着いて最初にしたことは、スマホでのインターネット接続設定だ。搭乗ゲートから入国審査場まで不安になるほどの距離がある。途中国際線と国内線を結ぶトラムにも乗り、移動する。その間、歩きながらゆっくり設定できた。スマホを購入した理由の一つでもある世界対応ケータイ。日本で使っている番号をそのまま海外でも使え、現地で公衆電話を利用したりSIMカードを買う必要がない。インターネットも、海外パケ放題で接続すれば1KB2円、980KB~25MBまで1960円/日、25MB以上使っても2960円/日とリーズナブル。必要なときだけつなげば、そんなにかからないだろうと踏んでいた。しかし今回の旅行、電話はともかくネットがこんなに便利だとは思わなかった。とくに列車の空席情報やGoogle Mapは随分と重宝した。事前情報では中国でも主要都市しかつながらないとあったが、地下鉄車内以外は全土ほぼどこでも使えた。おまけに驚き且つ有難かったのは、中国国内では絶対接続できないような成人サイトを閲覧できたことだ。ネットワークは中国联通(China Unicom)を利用するので当然フィルターがかかるものと思っていた。夜の快楽が保障されたことは言うまでもないが、当然通信費は嵩む。5日目の午後には「利用料が1万円を超えた」とのSMSが届き、帰国してフタをあけてみれば7日間で16,860円(パケ放題を設定しなければ44万円以上)もの請求額に。恐ろしいものですね。
ループ式に運行する机场快轨(エアポートエクスプレス)に乗って、第二ターミナル経由で三元桥へ。券売所では切符とともに領収書をくれる。北京五輪に合わせて開業したという快速電車は老朽化か、走行音がうるさめ。PM2.5など大気汚染で騒がれた首都も意外と快晴で驚き且つ安堵。三元桥で地下鉄10号線左回りに乗り継ぎ莲花桥に向かう。現在すでに北京西火车站まで地下鉄は通っているが乗換回数を節減したい。莲花桥から北京西站まで1kmもない。机场线を除く北京地下鉄の運賃は一律2元。改札前にセキュリティチェックもあって回収率が高く、また公共交通への誘導によって渋滞や大気汚染を緩和させるためにも一律運賃は有効だ。机场线の25元はまぁ維持費だと思う。しかし、行き先表示の「环线」はいかがなものか。せめて「右回り/左回り」「Clockwise/Counter Clockwise」としないと迷うではないか。上海の4号線はどうだったろうか。車内は上海に比べれば安静な気がした。

北京西站

莲花桥の地上は炎天下の複雑な立体交差。手探りで道を一本一本クリアして東進すると、突如巨大な駅現る。歩道橋上から駅ビルは眺めたが、まずは切符確保しか眼中にない。しかし先述のとおり、售票厅の電光掲示板では安阳行きK179も洛阳行きK1363も完売。阳谷への玄関口聊城行きですら、最も遅い便しか手配してくれなかった。購入自体は、発音に難儀して「山東の聊城か?」と聞き返されたくらいで済んだ。〔列車情報:K105次、北京西23:45発-聊城04:37着、硬座62.50元〕 4,5年温めてきた2プランが延期になったうえ、出発時刻も0時近く北京滞在時間削減の工夫も報われなかった。落胆に浸りつつ、あらためて北京西站を眺めてみる。南北両側に大きな広場があるが、メインは北口だと思われる。城門のような独特の構造をしている。西隣はホテルだ。

北京西站

莲花池东路と羊坊店路の丁字交差点を外資系などの飲食店が囲み、北京站から譲られた首都の玄関口の威厳を示す。しかし、100mも離れたり商業ビルの裏手に回れば、昔ながらの庶民食堂や安宿がひしめいておる。そして住宅地も徒歩圏内にあり、もう全国鉄路網の集散拠点となって久しいけれど意外と大規模な駅前開発をしてないんだな、と。地下鉄もまだ通ったばかりだし。
周辺案内図によると駅南側には大きな公園があるらしい。地下にある南北連絡通路は、各所照明がなかったり工事中だったりして危なっかしく、まだまだ荒削り。

莲花池公园

駅南西側にある、大きな池を抱えた市民公園。南口広場の自販機で冰红茶を買って漸く一息。避暑と体力温存を兼ねて、この公園でひたすら休養する。夕方涼しくなったら天安門でも見に行こうかなと。今夜は車中泊で明日の夜まで充電できないので、スマホの電力も温存しなければならない。改めて現実に戻りプランを再考。今回新开城际公交をクリアすれば安阳編は単独完結にして北京から再挑戦、洛阳は上海からでも行ける。今回の开封帰郷旅行では「阳谷・濮阳編」が意外と最適だったのかもな。
気持ちを切り替えていると、河南大学の老师から返信メールが来た。仕事が忙しく出発直前に送信したので、恩師の都合も知らぬまま行くのは不安だった。このタイミングで自分の帰郷を歓迎し待っていてくれる確証を得られたことは、積極思考を後援する。やはり今回スマホで通信できるのは有難い。

大きなハスの浮かぶ池と、後方に建ち並ぶ高層ビル群

北京西站の北ビルと南ビルの離れ具合がなんか良い。
列車の走行音も市街の喧騒もほとんど聞こえない。健康遊具やボートも楽しめる。入園料2元。

北京よりいざ河南へ

17時過ぎてから駅北東側の屋台街で拉面の晩飯。「何でも腹いっぱいにしちゃるから座れ座れ」と呼び込まれて座ったのに、掲示にない麺でもありそうなのを頼んだら放っとかれて、二転三転して拉面になった。まぁ久々の本場味付け中華は美味かったし、準備中の屋台に凉菜や炒菜が用意されていくのを眺めているのは面白かった。さもなければ約10時間もの列車待ちを潰すことは容易ではない。髭剃りや歯磨き粉も必要だったが、バッグを背負って超市に入るのは煩わしい。満腹の後は南広場の休める場所でひたすら人民観察して過ごす。大型スクリーンで河南济源の観光広告が流れていた。

夕暮れの北京西駅

昆明など主要駅での暴動が頻発しているせいか、駅周辺の警備が厳しい。車が転回するにはさして広くもなく混雑している広場を、5分から10分間隔で警察車両が巡回していく。見渡せる位置には武警が常時待機している。入場の際も、切符と身分証確認、荷物のX線チェック、そしてボディチェックもX線を通ったあと駅員のハンディタイプで念入りに撫でられる、3~4段階のセキュリティシステムに。それでも待合室に乞食とかいたりするのは不思議である。
通告どおり発車まで3時間を切ってから入場。上海と同様コンコースはモールになっていて、候车厅の間に書店やコンビニ、ファストフードやカフェが並ぶ。髭剃りは刃物、危険物に該当するせいか置いてない。指定の待合室は座れないのでコンコース上のベンチで音楽聴きつつ転寝。改札時、折角それらしく2列に並んだ乗客を引き裂くように、ど真ん中に陣取って跪き金をせびる乞食が邪魔臭かった。上海のような自動読取機はなく、駅員に鋏を入れられた。高速列車と快速・鈍行列車が肩を並べるプラットフォーム。K105次深圳行きはほぼ定刻で発車。乗車時は蒸し暑かったが、しばらくして空調が入れられた。一週間後にはまた戻ってくるのだ、と思っていたが、二度と北京西のホームを踏むことはなかった。

平原編1:山东聊城(Liaocheng)阳谷(Yanggu)景阳岗へつづく)

(map:北京莲花池)

*1:計画は全て县宿泊で組まれていたが、行程の乱れから2泊とも市になり、身分証提示や外国人宿泊規制の厳格体制に悩まされた。また、宿賃上昇の想定も甘かった