南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

昇竜きっぷでゆく南知多

尾州廻船内海船船主内田左七家(覗き)
昨年に続き、今年も名鉄の新春限定1DAYフリーきっぷ*1を利用。何まるけで記したようにきっぷの活用には悩んだ。まず離島を目指そうと考えたが、三河湾に浮かぶ3島の航路を調べたら運賃や港までのアクセスが嵩む。航路が短縮される師崎へも河和からのバス代がJTB時刻表で片道680円(知多バス)。そんな検索のさなかに見つけたのが、海っ子バス。これは南知多町コミュニティバスで、町内の内海・豊浜・師崎地区と美浜町の河和を結んでいる。知多バスとは別ルートで河和〜師崎間300円、往復は1日乗車券を利用して500円。こんなお得ならわざわざ渡航せんでも南知多を周遊すっか、となったのがこの企画。

熱田神宮参拝

大曽根〜金山間190円のJR運賃を惜しみつつも、8時より金山駅にてフリーきっぷを使用開始。乗った途端神宮前で即下車。名古屋人として、しかも名鉄乗降自由の身で熱田神宮を素通りするわけにはいかない。1時間早出をして空いた時間に参拝。東門より本宮に詣でたあと、南まわりで上知我麻神社と秋葉山円通寺を拝んで戻る。駅ではこれから行く豊浜のえびせんべいを販売しており、値段が参考になる。参拝があまりに滞りなく予定の電車に余裕ありすぎ。

巽ヶ丘(たつみがおか)

辰年ということで「たつ」のつく駅に降りてみたかっただけ*2。このために神宮前から約50分かけて何本もの特急や急行に追い越されながらも鈍行に執着した。でもこの途中下車には意味があって、4分後に来る急行は内海行きで富貴での乗換が要らない。河和線は海水浴へ行く特急しか記憶がないから、こういう普通に乗れる機会は貴重。

内海(「江戸時代をさがしに」散策コース)

10時半、内海到着。夏真っ盛りからは想像もつかないほど閑散としている。こんな内海も新鮮ではある。が、散策マップくらいどこかで提供してくれたらもう少し歩きやすかった。検索で見た内海観光協会絵地図の記憶を頼りに、内海川河口付近を彷徨った。
駅から海岸までって結構距離あるなと思った。まずは入見神社や如意輪寺を参りながら内海川沿いを南下。幟がポールに縛ってあって名を読めずに、高宮神社を通過。狭くて交通量の多い国道247号線を避け脇道に入ると、尾州廻船内海船船主内田左七家。年末年始のため休館で塀越しに覗き撮り(上の画像)。改修中の雰囲気だった。再び国道に出ると白砂の湯停留所。日帰り温泉施設「白砂の湯」で観光案内に期待するも、何もなかった。
 施設前に立つ「唐人お吉」の像。内海出身のお吉は幕末、下田で売れっ子の芸妓だったが、初代アメリカ総領事ハリスに看護婦として仕えたことで差別を受け、後の人生を大きく狂わされ自殺した。死後にその人生が小説や映画となって知られているらしい。内海川右岸の集落内には生誕地の碑もある。
一色城址に設けられた内海展望台からは伊勢湾が一望できる。
海岸線直近で結構な高さがあり、津波からの避難場所になるな*3。近い将来襲来するとされる東海地震を意識しつつも、今年こそ平穏な一年であってほしいと平和観音に祈願。

「吉良の仁吉清めの井戸」は西岸寺にあるのか分からなかったが、集落内には幾つか井戸がある。これはたぶん(地名でもある)大井戸。
高宮神社。これも相当な高所にあり眺め良し。岡部城や御嶽神社までは距離を感じて中止。残り時間で清水ノ上貝塚を探すも迷い、秋葉神社を登ったら高宮神社に戻ってまったので眺望を満喫して白砂の湯バス停へ。マップさえあれば、滞在2時間を効率よく使って地区西部まで回れたかもしれないね。

海っ子バス西海岸線

後乗前降の運賃後払い式*4。乗車時に運転士から1日乗車券を購入。知多バス営業所でしか買えんかなと思っていたので一安心。ただ、運転士は接客態度が今ひとつ。
路線名の通り、おもに伊勢湾に沿った海岸線を走る。日差しに温まりながら車窓から海原の絶景を楽しめる。途中十一家前より内陸に入り岩屋寺を経由する。寄ってお参りしていきたかったが、西海岸線はバス本数が2時間に1本程度と少ない。行程が河和→内海でなく内海→河和になったのもこのせい。南知多で今日見た寺社の中では一番盛況だったから惜しさは残る。

豊浜(魚ひろば、極楽寺

13時、豊浜港・魚ひろばに着く。観光名所の少ない南知多でもこの市場だけは混むと思い、昼タイムをややずらした効果はあった。廻船旧家は見損ねたが海鮮こそは食べるぞ。でも昨夏の敦賀での体験から値が張るかなと思いきや、意外に手ごろだった。まぐろ丼(味噌汁・お新香付)600円*5。わさび醤油を効かして食べる鮮魚は格別。ご馳走様です。食後は小ぢんまりした市場を巡り様々な味のえびせんべいを試食した挙句、小袋3つで500円のえびせんべいをお土産に買う。場内は中国人留学生と思しき若者が多数アルバイトしてた。たぶん学校が冬休みで稼ぎ時なんだろう。
まだ豊浜線師崎行きのバスまで余裕があり、豊浜の町を歩いてみる。市場前の看板にあった極楽寺と土御前に惹かれて、国道の向こうに聳える山を目指す。
途中にあった「大石さま」。むかし篠島からは名古屋城の石垣に使う石が多く切り出されたそうな。
極楽寺は高浜のバス停から脇道を登っていくとある。山の中腹、崖っぷちの様な狭いところ。
豊浜を見守る須佐浦観音。隣にお稲荷さんもあって、これが土御前かなと思った。が、大石さまに戻ってきて説明書きを改めて読むと、神様は鳥居の正面山腹の土御前に祀られているとある。顔をあげてアッと思うも時既に遅し、バスの時間だ。(豊浜にはとら薬師や貝がら公園といった見所があることを後で知り、内海との時間配分に悔い。)

師崎(羽豆神社、羽豆岬)

ついに知多半島の先端、師崎。風が強く、フェリー乗場兼観光センターに退避して又も割れせんべいを啄みまくる*6。年末年始を離島で過ごす人々で賑わっている。名鉄利用ともう一つ去年の新春企画と共通しているのは、最後に羽豆神社(去年は幡豆神社)を参ること。知多半島の突端は羽豆岬といって、その樹木茂る丘*7の上に神社がある。境内を北側から登り、傾いた陽に照らされる伊勢湾を観賞。本日最後の初詣を済ませて熾き火に当たりながら、今度は目前に迫る篠島日間賀島を望む。

漁港にはためく色とりどりの大漁旗は正月の風物詩だといわれる。岬から見えた旗々を間近に見たくて係留場所まで行った。
肝心の旗はブレて画質も悪いが百聞不如一見てことで許せ。

うめ乃湯

師崎と豊浜の間の荒磯(ありそ)にて今日最初で最後の途中下車。南知多温泉旅館、まるは食堂旅館に隣接する日帰り温泉施設「うめ乃湯」。入湯料は500円で内海の「白砂の湯」(750円)よりずっと安い。駐車場にぎっしり詰まっていたのは宿泊客のもので、温泉はさして混んでいない。湯は熱めで完全に緑色に濁っている。露天風呂はないが大きな湯船の外面がガラス張りになっていて、暮れゆく海原を堪能しながら入浴を楽しめる。風が強く寒い日にはこの方が温まるし、海苔の養殖風景をゆっくり眺められた。茹で上がり寸前まで浸かってフルーツ牛乳飲んで、きっかり1時間。こんな過不足ない温泉も珍しい。

河和、犬山経由で帰途

17時、伊勢湾をあとにし知多半島を横断。荒磯(ありそ)もだけど、初神口(はじかみぐち)や乙方(おっかた)、古布(こう)など変わった読み方の停留所が目に付く。しかし丘陵地帯は滅多に乗り降りなし、三河湾に出ても同様だったが終点河和駅での乗車率は意外に良かった。17:36発急行新鵜沼行きに乗り、金山も通過して只管ロングシートに座り続けること約1時間半、犬山。名鉄でも乗りっぱなしで疲れることなんてあるんだなぁ(感心。小牧線に継ぎ上飯田にて乗り鉄終了。全行程で名鉄は2910円分・海っ子バスは780円分乗車し、それぞれ大変有効。
安く電車とバスに乗れて、軽く歩いて海鮮食えて温泉に入れりゃ申し分なしだ。

*1:今年は辰年にあやかり「昇竜1DAYフリーきっぷ」1500円(福引付き)

*2:この時期だけでも何かPRすればいいのにね

*3:ここの家屋の多くには伊勢湾台風での浸水水位を記したプレートが付いている。防災意識が高いのだろうか

*4:南知多・美浜各町内は一律160円、越境乗車は300円

*5:日間賀島に行かなかったのを思い「たこめし」500円と暫し葛藤

*6:日間賀島タコカレーは売ってなかった...

*7:羽豆神社の社叢」といい国定公園に指定されている。