南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

信濃路の旅 3:上諏訪・大町

信濃路の旅 2:JR小海線よりつづく)

上諏訪

今日はのんびり出発のはずが、かりんちゃんライナー運休のせいで昨朝と同じ時間。しかも貴重な朝風呂と朝食、それにドリンクセットのモーニングコーヒーを愉しんでから発たねば。幸い旅行中は早寝早起き、昇ってくる朝日を浴びながら不動の湯に浸かって目を覚ます。コーヒーに合わせたのと、昼までさほど運動量ないので今朝はパン食。チェックアウトの際、本旅で唯一のGo To トラベル還付金事後申請書類を受け取る。その場で詳しい説明は頂けなかったが、これらの書類を揃えて事務局へ送付すれば宿泊費の何割かが返金されるのだろう。もともと温泉宿にしては十分割安な宿泊料だけれども、せっかくなので後日申請してみるか。
駅前でかりんちゃんバス停を探し暫し右往左往、じつはゆうべのみそ天丼屋の近くにある。諏訪大社こそ通るものの、本来の内回り線は地元住民の足、1時間近くかけて諏訪市街南西部に点在する集落を巡る。ほんとローカルな地名のバス停を追いながら、果たして諏訪大社に行くのか不安になったりする。降車時には運転手さんが戻りのバス停を指し示してくれた。

諏訪大社上社本宮

苦労して辿り着いた上社。因みに下社はちょうど11年前に参拝している。
jaike.hatenablog.jp
東参道側へ登っていったので、大鳥居などは後回しに。本殿を護る森の巨樹大欅や勅使殿、土俵などを見てからお参り。

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諏訪大社上社御柱

本宮は北西向き。神域は厳かに、無闇に撮らない。念願の御挨拶を済ませ大鳥居を拝すると、涼みながら鎮守の森に戯れて東参道へ戻る。

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楽殿、大欅

東の鳥居を右手、法華寺へ登りかけるとちょっと見晴らしの良い場所がある。ちょうど八ヶ岳方面の山々が映えて見える。

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茅野市街と八ヶ岳

日陰のないバス停で佇む時間を極力抑え、ゆっくりとお参りできた。

諏訪湖

外回り線を片倉館前で降り、5年ぶりの諏訪湖畔を散策。今回の計画でこの時間は想定してなかったので、やっぱりちゃんと懐かしんでけよってことなのか。

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諏訪湖

アイス食べながら小一時間ぷらっとして上諏訪駅へ。そいえば湖岸通り3の角にあったヌード劇場は解体されたっぽい。

JR大糸線

小海線とならぶもう一つの信州未知エリア、大糸線へ向かう。上諏訪から信濃大町までの片道運賃は1340円で18きっぷの1日分には及ばないが、大町市内でちょこちょこ乗り降りするのに楽なので使う。中央東線の甲信区間の普通電車は、コロナ禍とはいえ立ち客をほぼ見かけないほど空いていて、幹線のわりに東海道線静岡区間よりも本数が乏しいのに納得。JR東日本の豊富な特急電車に充足している模様。
電車が到着するたびに松本駅構内に響き渡る「まつもとー、まつもとー、まつもとー」の三呼は、”ようこそ”と”おかえり”が入り混じったような不思議な温かみがある。さて、この先篠ノ井線長野方面は渋温泉家族旅行で経験済みだが、安曇野・白馬方面は初。篠ノ井線にもう少し依拠していくものと思っていたが、北松本を出るやアッサリ分かれてしまい驚く。身延線富士宮辺りと同様、地元の若い人たちで割に混んでいて暫く座れない。

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穂高岳方面の山なみ

犀川梓川?)を渡ると、北アルプスの麓に広がる安曇野の田園。電化区間だけに軽快に揺られていく。途中の有明からワンマン運転

大町

ちょうど信濃大町駅構内に立ち食い蕎麦屋カタクリの花)があり、かけそばを啜る。ていうか、大概がベンチで冷たいざるそばを食べるなか、ひとり熱々のかけそばw 自分的にはやっとありつけた本場信州そばなんで一人ご満悦。

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信濃大町駅

大町市

まずは街をぶらりと歩いてみる。大町は湧水の豊かなまちで、水道水はすべて滅菌しただけの湧水だそうである。北アルプス水系の男清水(西側)と、居谷里の女清水(東側)があり、本通りを軸として市中随所に水場が設けられている。本通りのアーケードに庇を借り、水場を伝ってこまめに休息しつつ、炎天下を北上する。
水について|信濃大町の食おいしいプロジェクト

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西宮神社・いーずら大町特産館(女清水)、わちがい(男清水)

初日に訪れた静岡の吉原も富士山麓の湧水ゆたかな町であった。地域は違えど、何かと繋がっているものだな。
大町は、糸魚川から松本まで塩や海産物が運ばれた「千国街道・塩の道」において宿場町として栄えた。その大町宿で松本藩より塩問屋を任せられた平林家住宅、塩の道ちょうじや

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塩の道ちょうじや

真っ黒な壁に、商家らしい広々した土間と大きな算盤の帳場、年月経てもしっかりした造りの母屋。2階の千国街道に関する展示は、明日その一部を歩く予習として勉強になる。「敵に塩を送る」で有名な上杉謙信武田信玄の逸話は、暮らしに不可欠な塩の貴重さとそれを戦の駆け引きに利用しない義の心を伝えてくれる。
明治時代は味噌や醤油などの醸造業を営み、醸造蔵も残る。

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奥の蔵群と流鏑馬

本通りをゆくと、

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趣ある問屋(九日町)

猛暑のため竃神社は割愛して、若一王子神社へ。

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若一王子神社

静かな境内で赴くままに涼んでゆく。夏の例大祭で、ちょうじやにも展示のあった流鏑馬が行われる。本通りには戻らず、もよりの北大町駅へ。

木崎湖

キャンプ用品らしき大掛かりな荷物を携えた小中学生の一行とともに、稲尾駅に降り立つ。田畑の先にスグ、木崎湖が静水を湛えている。

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山肌せまる木崎湖@稲尾

チラホラと釣り人しかいない湖岸で昼寝でもするつもりで来たが、突如こらえきれないほどの腹痛を覚え蒼白。稲尾駅近くにトイレはなく、最も近いところでも湖南端、温浴施設ゆ~ぷる木崎湖辺りまでいかないと無い。やむなくそこまで湖畔を辿ってゆく。急に青空を失いどんよりとした景色に包まれ、不安を感じ取ったのだろうか。旅館やペンションの集まる地区へ近づくにつれ晴れ間も戻り、腹痛もしだいに落ち着いてくる。

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穏やかなムードの木崎湖

陰と陽、2つの表情を見られて良かった。昨日は山の日だったが、今日はいわば「湖の日」。諏訪湖木崎湖、のちほど中綱湖を訪れる。木崎湖と中綱湖、さらに北の青木湖を総称して仁科三湖という。ここの民宿群の奥には仁科神社があるようだ。信濃木崎駅までの路程を考慮し、拝みにはゆけない。かくして予定外の信濃木崎から大糸線の本日最終トリップ。

簗場

チクバやハリバなどと読んでしまいがちだが、「やなば」と読む。かつて一つ先にヤナバスキー場前という臨時駅があり、スキー客で賑わったそうだが随分廃れてしまい、昨春を以て廃駅に。ともかく雪のない夏場は長閑な山あい。駅前を下ると中綱湖

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中綱湖

さて、今宵の宿は湖のほとり、スキー場のゲレンデに点在する民宿のひとつ、深山荘(みやまそう)。スキーブームは去り、合宿で賑わう夏場も今年はコロナ禍で集客できず、オンライン予約サイトで見かけた二三軒を除いて営業している気配は感じられない。そもそも何故ここを宿泊地に選んだかというと、当初計画の南小谷糸魚川間往復を完遂するには、信濃大町駅前泊では出発が早朝すぎたり当日に名古屋まで帰れなかったりするからだ。のちに大糸線は長野県内で収め、千国街道ハイキングへと修正するが、それでも信濃大町発では余裕がなく、少しでも小谷よりに泊まり宿の朝食もいただきたい。そのときちょうど目に留まったのが、2食付きで大町駅前のよりも安い簗場の民宿群だったのだ。好評のわりに全然埋まらない深山荘の予約状況に些か違和感を覚えるも、閑静な所でのんびり休めると期待して確約。店頭で待たされたりコンビニで済ませたりしてきたので、2食とも心配要らないのは有難い。
住所とネットの外観写真を頼りにたどり着くも、真っ暗な玄関は閉まったまま。まさか予約ミス?と不安を抱きながら周辺をウロウロし、幾度か覗いていたら女将さんに迎えられた。反対のドアは普通に開いたw 聞けば、予約フォームこそ設けてはいるもののコロナ禍を懸念し1日1組だけで締め切っているという。とうとう今夜は私一人っきりの宿。

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民宿深山荘

18時半に夕食を頼み、さきに入浴。一晩に何度も入られる方もいるという、自慢のお湯だそう。宿側の都合で女性用の浴場へ導かれたときには、東北旅行のいわき市平YHでの件を思い出す。「どんどん水でうめてください」と言われて温度をみると、たしかに熱い。わりと熱めの銭湯慣れしている私でも、そのままではキツいと思った。洗ってる最中も只管うめてやっと入れる湯加減に。なるほど熱さを除けば柔らかい湯だ。二晩満喫してきた温泉とはまた違う、沸かした湯の癒しがある。そいえばこれも湧水か。

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簗場の夕暮れ

客室からの眺め。正面に簗場駅、左手の林は中綱水神社。予想どおり野山の自然に囲まれた安息の地。折しもペルセウス座流星群の頃で、夕食後観望したい衝動に駆られる。

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深山荘の夕食

食事は広間で提供される。たった一人のために大層なお膳を用意していただいた。ご飯はお櫃にいっぱい。ご飯はお椀でいただく。普段は子供たちの合宿を受け入れているため、陶器よりも軽くて割れないお椀を使うのだとか。洗面所など館内随所に合宿用と思しき掲示や足跡が見られる。川魚の焼き物や蕎麦、天ぷらなど地産こだわりの逸品が有難い。店屋物よりずっと満腹になる。
押し入れから自分で寝具を出して敷くと、テレビもそこそこにゴロリ。窓を開け放てば自然の風が十分心地よく、エアコン不要。問題は網戸も厭わず侵入してくる虫どもで、よほど今夏の来客が珍しいのかギャラリーがいっぱい。豆電球のみに消灯するも僅かな光を頼りに集ってくる。バックライトに惹かれてスマホ画面へ乗られたのにはさすがに閉口した。根負けとともに就寝。

年季の入った空調機

信濃路の旅 4:千国街道へつづく)