南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

鸡蛋灌饼が恋しい

まぁ結構定期的に恋しくなるんだけど、今回はまた格別に。明伦街喪失に打ちひしがれた私を、解きほぐしてくれた微博。
m.weibo.cn
あったー!!!この場所、このお店。私が十数年食べ続けている、馴染みの信阳鸡蛋灌饼店。留学時代は文字通り「毎朝」食べ、帰郷旅行でも必ず行って必ず会える人。毎回帰郷旅行後に書く「开封朋友との再会結果」で欠かさず登場し、鸡蛋灌饼はアイキャッチ画像の定番だ。暇なときをみてはネット上の情報を探していたけど、的中はこれが初めて。
中国全土にそれこそ星の数ほどもある屋台・露店(小摊儿)の中の一つを、ネット上でピンポイントで見つけるのは相当難しい。よほど個性的な店でもない限り、口コミだけでは不十分で、画像などの確たる証拠がないと的中とは言い難い。じつは、河南大学南門向かいには2軒の鸡蛋灌饼店があり、「老河大南门口对面的」だけではどっちの店か区別がつかない。大学正門に向かって左手(西)にあるのがこのお店(下図の★)。微博文面上でいう胡同口としては、明伦二街口にあたる。もう一軒のほうは奥に幼稚園の見える路地(明伦一街)の入口にたち(下図のA店)、鸡蛋灌饼のほかにも粥や汤、そして簡単な麺類まで出して昼過ぎまで営業している。一方馴染みのこの店は、鸡蛋灌饼の朝ごはん一本勝負を貫いている。近年は隣に豆腐脑と豆浆の阿姨も居るようになり、合わせて食べている。

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河南大学南門付近の位置関係

貴重な留学生楼の表示も出てきたので、併せて載せた。居室を出て5階共用スペースの窓から南門越しに店が見えるので、今朝は出ているか確かめて行くことができる。基本的に年中無休で雨の日も大きなパラソルを差して営業しているが、強風の日は休む。また、営業時間も概ね午前6時から9時ぐらいまでと限られている。おかげで土日でも寝坊しなかった。一時期は春節で学生帰省による減収のせいか、昼から夜まで営業していたことがあり、朝昼晩三食お世話になったことも。明伦街路北拆迁の記事でも書いたように、授業のある日は留学生楼からいったん校外へ出て鸡蛋灌饼を買い、明伦街を食べながら歩いて河南大学医院前の通用口からキャンパスへ入り、教室へ向かうのが日課だった。朝の慌ただしい時間帯にありながら絶妙な手際の良さで焼き上げていくので、「下一锅吧」と言われてもそんなに待たない。鉄板の1回で焼ける枚数はたいてい5枚だが、順々に仕上げて捌いていく。
冒頭の微博でも言及しているように、仕上げに直火を当てて炙る工程は、じつは他の鸡蛋灌饼店では見られない珍しいものだ(微博掲載画像の3枚目)。ここが一番馴染みとなってしまった私には当たり前の工程だけど、ときどき河南大学周辺の他店を食べたり、帰国して鸡蛋灌饼の動画を見たりすると、確かにその一手間がないのに気づく。これが正統な鸡蛋灌饼の焼き方なのだと、微博のライターは述べている。へぇぇ、看板どおりの正宗なんだ。

鸡蛋灌饼的灵魂就是最后一定的火烤,烤出了多余的油,也会让饼吃起来更酥脆!

揚げる、というほど大量の油ではないが浸るような量なので、炙らないと油びしょびしょに焼きあがる。鉄板をスライドさせると下に練炭を入れた窯が現れ、そこに立てかけるようにしてほんの数十秒ほど乾かす。それでも油取り紙がないと持てないほどだけど、味が締まるんだろうな。それにしてもiPhone 11 proで撮った鸡蛋灌饼、鮮やかだなぁ。新鮮な生菜、辣酱、見るからに食欲をそそる。辣椒要らないとか、何も挟まずに饼だけ焼いてくれっていう注文も多いけど、私は全部つける。私が「都要(全部つけて)」と言うのをお二人はもう覚えている。
写真を撮られ慣れていないのか、微博の老板の表情はどこか硬い。普段はもっと笑顔で、饒舌ほどじゃないけど冗談も飛ばす。私以外にも多くの外国人を相手に商売しており、気さくで馴染みやすい。この投稿は2021年4月となっており、もっと以前の画像じゃないかと指摘もあるけど、長年お会いしてきた私には老板の老け方が分かるから間違いなく近年のもの。帽子を目深にかぶった老板娘の表情が見えないのは残念だけど、たぶん斜視をさりげなく隠したんじゃないかな。とにかく二人とも笑顔が好きだし、帰郷して会いに行った時の喜びようがまた好き。この微博を見つけたとき滅茶苦茶感動したのは、ピンポイントだったことともう一つ、ここ1年以内と情報が新しかったこと。たとえ明伦街に構えられなくても、河南大学が移転してしまっても、これで廃業にはしないはず。きっとどこかでまだやってる、必ず探しに行こう、と思えたことだ。ものすごく励みになる投稿で、ライターには絶大な謝意を伝えたい。

過去4回の鸡蛋灌饼ギャラリー
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2012年と2014年の鸡蛋灌饼
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2017年と2019年の鸡蛋灌饼
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そっと遠目に撮ったお店(2012年)