南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

手薄と曖昧の抑止力

イスラム組織ハマスによるイスラエル急襲をみると、手薄の抑止力って案外大事だなぁと。世界最強といわれたアイアン・ドームを掻い潜ってロケット弾が各地に飛来し、鉄壁なはずの分離壁や検問所を突破してハマス兵が街を襲撃した。「矛盾」の故事じゃないけど、どんな頑丈な盾にでもいつかは突き通す矛が現れるのだと。古代中国だって、あんなに堅固な万里の長城築いたのに、統一王朝をたてた異民族国家のほとんどは遼、金、元など北方系じゃん。むしろ、海洋進出や西方の安定に注力するようになった現代のほうが、北は安定している。

ロシアとウクライナが開戦したからといって、北海道に在留米軍移したり対露防衛強化したニュースは聞かなかった。開戦直後にロシア艦船が津軽海峡を通航してた件も、大して問題にならなかった。おかげで、北方四島は現状ロシアに実効支配され、日本がウクライナ支持したことで日露関係は悪化して領土問題の解決は遠のいたものの、具体的な侵攻は一つも受けていない。尖閣諸島にしてもそうだけど、敢えて明確な解決と線引きをせず、手薄で曖昧な状態を維持しておくことが逆に、些細な挑発こそあれ無駄な衝突は避けられるということだ。北朝鮮のミサイル発射に対する日本政府の遺憾の意表明が、いかに地域安定に威力を示すか。陸続きと海洋国境の違いはあるけど、ウクライナ指導者もいつまでも戦争に固執してんと日本に学べや。まっ、指導者の資質も能力もない悲劇のヒーロー気取りにゃ、到底無理か。こんなのの支持国なのが恥ずかしいわ。