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南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

おつかれさまで“すわ”の旅(1)

これは2007年春の大学卒業旅行的上-京の旅以来、実に8年半ぶりの自分で企画実行した日本国内宿泊旅行だ。職場では中国帰郷の名目でしか長期休暇を取りづらかったため、国内は日帰りに依らざるを得ない面があった。

はじめに

慣れない夜勤疲れの気分転換と、夜勤特有の生活サイクルの利を生かした小旅行を当初から模索していた。すなわち「始発列車から遊べるぜ」構想をこの勤務形態中に実現したくて、翌日昼過ぎぐらいまでに新幹線や特急で帰還できる温泉地を探していた。伊豆方面と諏訪が浮上し、民宿検索で価格と口コミの評判なところを見つけた諏訪に軍配上がった。諏訪でも下諏訪温泉のほうは日帰り旅で行っているし、湖畔にYHもあるこの温泉地は予てより少なからず憧れがあった。
往復切符は前日購入。帰りの塩尻-中津川間の特急しなの利用は出勤時間に余裕を与えるためというよりは、中津川での乗継を円滑にするためだ。青春18きっぷのように途中乗降が自由な切符でない場合、駅構内で時間を持て余すのは嫌だ。上諏訪温泉での宿泊は、民宿「すわ湖」を楽天トラベルで予約した。当初素泊まりで検討していたが、せっかく骨休めに行くのならと二食付きで頼んだ。学生時代にYH宿泊でバンバン旅行していたころが懐かしい。一般旅館タイプでいうと先述の上-京の旅で泊まった旅館「下仁田館」を思い出し、イメージを重ねてみる。ワクワク

上諏訪

始発とは銘打ったものの、中津川まで行く列車は06:25が最も早い。帰宅から出発まで眠気を堪えていた割には、寝ていこうと思った往路の車内ではちっとも眠れず、まともに寝入ったのは古虎渓-多治見間の一駅分だけだった。それでもボンヤリ車窓を過ごしながら気持ちだけでも休める。空腹では寝られまい、と弁当の味ごはんおにぎりは中津川の乗継直後に食べてしまう。中津川から坂下までの2駅は通学する高校生で貸切状態、駅員のいない坂下駅ではワンマンの運転士が改札するため停車時間も数分。中央線は主に左岸を走るので山地に日光を遮られ、右岸はほどよく陽に照らされた淡い紅葉が楽しめる。塩尻ではぶどう祭りが開催中でワインの広告などが見られる。それにしても、長野県では比較的大きな都市が連なっていると思われる中央東線の普通列車が1時間1本とは驚いた。ロングシートの都市型電車だけれども、本数の割にはさして混雑してない。快速移動は特急あずさで間に合うんだろうか。
上諏訪駅はホームに足湯のある1番線の改札前に到着。そのまま出たら湖畔側じゃなくて北口だった!! (でもあとで南口に行ったらバス乗り場だけの淋しい広場だった。)そのまま線路伝いに東方へ進んで中央線を渡ると、見事なケヤキ並木。

まずは今晩泊まる民宿の下見に行こう。記憶通りに歩き出したまでは良いが、この諏訪市街、方向感覚が非常に掴みづらく道幅も地図で描かれているほど広くない。それでどんどん勘違いしていき、20分近く歩いてふと見やれば高島城の天守閣が。すわ行き過ぎだ。そこで漸く「湖岸通り」が裏路地みたいに飲食店の犇めいた道であることに気付いた。また街の規模やJR線や諏訪湖畔との位置関係が少し分かった。民宿の前を過ぎて湖畔に行き当たると大きなD51が展示してある。

諏訪湖岸散策

JR移動中は肌寒い気配もあったが、ここは晴天で暖かく過ごしやすい。園児たちが遠足かマラソン大会している。湖上は少し靄がかっているのか、対岸の景色ははっきりしない。狐火を掲げて諏訪湖を渡る八重垣姫の像、が湖面にユラユラ映っている。

諏訪に来たらコレを食べよう、みたいな名物も分からないので、コンビニで焼きうどんを買って湖畔で昼食*1。間欠泉センターはボート乗り場より先で見当たらず(23日入館)。駅に戻る途中覗いた温泉街はおおむね盛況していたが、交差点の目立つ角地に「ヌード劇場」なる廃屋が残っていたり、大きな老舗風の旅館が廃業したまま解体を待っていたりと、どこの名湯も昔よりは苦境なんだなと。

唐沢山阿弥陀寺

紅葉がきれいだと評判らしいので機を逃さず行ってみようと。上諏訪駅南口からかりんちゃんバス(150円)で約30分。温泉寺などのある対向車行違いギリギリの旧市街を抜けたかと思えば、エンジンブレーキをギィギィ軋ませて急勾配を往来する地区を廻ったりと、展開の激しい路線だ。とくに後者の尾玉地区は、まだ全国的にも珍しいラウンドアバウトがあって停留所名も「ロータリー」。最も高い辺りから見下ろす湖と諏訪市街はある意味絶景だ。行きの女性運転士は丁寧なハンドル捌きと、高齢者の多い乗客に対応した優しい言葉遣いで癒された。委託による退職者などが不愛想にやってるのとは大違いで感心。秘かに「ミスかりんちゃん」と命名。
目的地一つ手前の「山の神下」で地元民と下車*2阿弥陀寺参道入口の山之神社は、祠の前に大木が座しており、なるほど確かにこれは山の神だ。

アスファルトの急登を日光浴と森林浴に浸りながら喘ぎ喘ぎ頑張った甲斐あって、それは見事な紅葉を観賞できた。



  
中国のテレビドラマ『济公新传』のシーンを思い出すような美しさと神秘的な空気があった。鐘楼で鐘を一突き、煩悩を乗せた重い風が山中に吹き渡った。

高島城

かりんちゃんバスで駅も通り過ぎ城址公園へ。歩いても着いてしまうほど近いのに、日赤病院や水道局などを巡るので遠回り。
300円で入館した天守閣は、城主と武田信玄との関わりから結構難解で、ここにきて睡魔も圧し掛かり、「風林火山」のポスターや破却前の城郭の写真などを眺めて楽しむ。最上階から望む紅葉と街並み。


足元に湖水が迫る「諏訪の浮城」。今は水濠のみ。
  冠木門
大手門から市街へ続く縄手跡を辿ると古い蔵が並び、やがてケヤキ並木につながる。そのまま温泉街をしばし散策し、疲労具合をみて予定より早目のチェックイン。

民宿「すわ湖」泊

温かいもてなしが定評でリピーターも多いという民宿。呼び鈴を鳴らすと30後半ぐらいの男性(通称マスター)が現れて、速やかに部屋へ通された。諏訪湖畔の民宿「すわ湖」で部屋名も“諏訪湖”。
 
民宿というけれど、なかなかどうして旅館並みの造りと設えじゃないか。温泉行ったら浴衣でしょ、と大喜びで着替えて湯処に向かったらみんなTシャツ短パンだった(笑。考えてみたら夕食前に温泉浸かるのも浴衣着るのも家族旅行以外では初めてなんで、不思議な心持ち。やや熱めの湯に身体を沈めれば、芯まで痺れるような快感。二人も足伸ばせばいっぱいの小ぢんまりした湯船を、泊まり合わせた人が入れ替わり堪能する。幸い露天風呂はわが「諏訪湖」の隣室で、入浴者の気配を窺いながら隙を狙うことができる。今夜は内湯で十分満足した。
朝夕食は座敷の食堂にて。噂に聞いていたセルフすき焼きは多少テンパったが、何とか食べられるものになった。ほか、刺身・天ぷら・茶わん蒸し・アユの塩焼きと一通りのものが出てくる。ご飯と味噌汁はセルフ。おかずが思ったより多いので、ご飯を2杯も戴いてしまい超満腹。周りは現場作業員*3や常宿の方ばかりで、各自酒類を持ち込んで我流にやっていて、出される料理も一品二品違うらしい。こんな寛げるムードだったら連泊もいいなと思う。
お腹が治まったところで、もいちど内湯へ。熱さましに湯船の縁に座ってボゥッとしてたらうっかり眠りこけ、顔が水面に最接近(笑!!。温泉で寝るなんて、どんだけ寛いでんだろうね。温泉浸かって、美味いもの食べて、夜にゆっくり眠ることが最大の目的なので、23時ごろには就寝*4。温泉で火照るのか暑苦しくて、二三度目覚めた。
つづく

*1:のちに南口の和食店で「みそ天丼」なるものを発見。次回試そう

*2:停留所の間隔が短いのを察して停車効率に配慮

*3:中国の温泉鎮で泊まった工人疗养所(工人療養所)を想起させる

*4:無料Wi-Fiで通信量の気兼ねなく夜の快楽を堪能するのも忘れず