南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

THE 四国一周!! 5:さよなら、四国

四国を名残惜しむ、オマケの一日。徳島では曇天、和歌山からの帰り道には快晴となり、思えば行程に影響する雨天は昨夕ぐらいで限定的だったな。

徳島 その2

まるで温泉のように体の芯までしびれるような熱さのスパで目覚め、無料予約制と思しき朝食バイキングを覗いてから7時過ぎにチェックアウト。胃腸が重いものを受け付けないので、サンドイッチと豆乳の軽い朝食。四県で唯一、終日上着が手放せない肌寒い徳島。
この日は朝一で眉山に登りロープウェイで降りてくる予定だったが、前日の雨による山道の悪化と当日の強風を懸念し、市内散策へ切り替える。

新町川


橋詰に阿波踊りの像が載る両国橋のたもとで朝飯を食べてから、水際公園を散策。岸にはひょうたん島一周遊覧船乗り場がある。このひょうたん島というのは、吉野川の分流である新町川助任川などに囲まれた中洲のことで、徳島駅や市役所などがある市の中心部だ。あとで地図を見ると確かにヒョウタンの形をしており、マクロで見ないと気づかない徳島市の地形に感心。

LEDのイルミネーションが綺麗だという人道橋、ふれあい橋

西面(右画像)には、阿波の地に伝わる狸の物語が2つ、南北の端から描かれている(「夢のラクーン」)。阿波(金長)狸合戦は有名な話で、ジブリ作品『平成狸合戦ぽんぽこ』でも四国の長老狸を「化学(ばけがく)」の師として招聘するくだりで金長が登場している。じつは香川から徳島への行程では、屋島などの狸伝説スポットを訪ねる案さえ浮上している。
対岸は、しんまちボードウォークという木の遊歩道。足元はあまり意識しなかったけれど。

新町橋より望む眉山

徳島中央公園

春日橋にて川と離れ、線路を渡って城山へ。ポッポ街というアーケード商店街がちょっと惹かれる。駅側は松屋の横が入口だったのだが、初日は全然気づかなかった。少年野球の大会でも始まりそうな小学校グランドを過ぎると、山裾に沿って石垣が現れる。


さらに登山口を探しながら進むと、錆びたレールの先にひっそり展示された蒸気機関車
四国の駅前に静態保存されたSLは、これで4件目だ*1。この環境は少し不気味さを漂わせる。機関車と反対のレール端は城山へのトンネルまで延びており、その断面には「徳島鉄道年表」と路線図が描かれている。
連郭式と呼ばれ、いくつもの曲輪で構成される徳島城。しかし、木々がうっそうと茂り湿度もあって、櫓や二の丸跡などはあまり印象に残らない。本丸跡もまた広く開けているものの、ぐるりと木々に囲まれ見晴らしは全然良くない。僅かな隙間から望めたのは、南東方向と思われる。

東側から下ってきて、ふと振り返るとSLの保存小屋が見え些か落胆。さいわい伊予街道よりは手前に跨線橋があり、幾分迂回は避けられたが。

築造に携わった蜂須賀家政蜂須賀正勝の子)
みたび、徳島駅

地下の一番館には特産すだちの銘菓が豊富に並んでいる。価格の割に内容量が充実しており、品定めに苦心する。軽さと香りを楽しめそうな点から、「すだちケーキ」が四国土産代表となった。ちなみに土産は徳島港売店でも買えた。

帰り道

さて、これから午後いっぱい要して名古屋へ帰る。行きは高速バスで約4時間半(¥7500)の道程を、帰りは南海フェリー・南海と近鉄で9時間かかった。フェリーこそ四国観光の一部だが、ざっと流すように記していく。
まずは、徳島市営バス南海フェリーターミナルへ。毎時2本ほどの運行だが利用者は疎らで、終点で降りる乗船客も多くはない。ターミナルは乗船する車で混雑し、バス停に接車するのが難儀。

南海フェリー

本来フェリー航路の徳島~和歌山(片道)だけの運賃で2000円のところを、徳島港から南海電鉄の主要駅まで2000円で乗れるという「好きっぷ2000」近鉄運賃とこの企画切符こそ、帰路に高速バスを捨てた所以である。むしろ往復さえ「好きっぷ2000」でも良かったが、徳島駅に朝一番という絶対条件は譲れなかった。また南海電鉄特急券なしで特急の自由席に乗車できるため、和歌山からなんばまで特急サザンを利用でき時短可能。最小乗継でいけば徳島~名古屋を4500円ほどで結んでしまう粋なトリップに惚れた。
乗船40分前に余裕をもって11時発のきっぷを購入。昼時の船旅を優雅に楽しむため、売店で弁当とすだち酎を求める。弁当に関しては船内でも特色ある商品を販売しており、惜しいけど売り切れるのも早かろう。狭い待合室は十分混んでいたが、同乗者はクルマとともに乗船するのでこの場に居ないと考えれば、その混み具合にはもう少し危機感が持てただろう。


乗りこんで早々座席を争奪する客を尻目に、デッキへ出る。晴れているものの強風に煽られる。テーブル席をゲットして出航を待つも、とても落ち着いて酒食を楽しめるものではない。

もう一つのテーブルに来た家族連れも強風に耐えかねて、即移動。自分も諦めて奥のベンチで弁当を広げたところ、案の定ゴミを飛ばされたww(乗務員に回収させたので笑い事ではない)。食後はカップ酒片手に紀伊水道の海原を眺める。初日は仮眠中に素通りした鳴門大橋や淡路島が遠望できる。
吹きさらしに飽きて船室へ入るも、座席から絨毯スペース、ラウンジに至るまで居場所は一切残されていなかった。混雑に応じて開放されたドライバー室さえも埋め尽くされ、壁際に座り込んで転寝するのが精一杯。まるで中国の超満員列車みたいだ。

南海電鉄

13時和歌山着の便には和歌山港発のサザンは接続されていない。普通で和歌山市まで1駅移動し、特急に乗り換える。名鉄セントレア行き特急(一部指定)と同じく、自由席車両はロングシート。乗車中は終始スマホを弄っていて車窓に関心なし。隣に東南アジア系外国人のグループが座っていたのだけ記憶している。ちなみにこの区間は、和歌山・紀伊風土記の丘版阪和線とかぶっている。和歌山からなんばまでちょうど1時間。

近鉄

南海と近鉄の両なんば駅乗換は地上経路で調べてあったが、現地の案内板に従って地下を移動したらものすごく混乱した。人の流動が激しいのと方向感覚を失いながらあちこち歩かされるのとで、猛烈に疲弊した。かかった時間はそれほどでもなかったが。
大阪を通るからには短時間でも鶴橋に寄りたいと考え、25分間途中下車した。このために駅改札から近い「肉ホッペ」の店を調べておいたのだ。最後に食べたときの店はとっくに記憶がない。そもそも鶴橋の高麗市場が駅の北東に位置することすら勘違いしていた。結構急いで買ったので、タレが付属してないことに注意を払わなかった。よって少し味気ない再会となった。ホルモンの弾力とニンニク風味は申し分なし。
近鉄大阪線河内国分あたりで席を確保できてからはスマホに没頭し、気づいたら青山だった。伊勢中川からの名古屋行きは1,2分程度の接続と思い込んでいたので、てっきり乗り遅れたと焦ったがダイヤどおり17分待ちだった。この勘違いで帰着が30分遅れるも、まぁ誤差と言えるでしょう。

おわりに

百聞は一見に如かず。漠然と抱いていた四国へのイメージが、予想通りもあり幻想を覆されたこともあり。各県つまみ食いながら特色を発見できて面白かった。旅人や現地人との交流は期待ほど叶わなかったけど、鉄道趣味も満喫できたし日本列島の空白地帯がまた一つ埋まって良い旅であった。

さよなら三角、また来て四国。

*1:宇和島、内子、伊予西条に次ぐと思われる