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南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

平原編2:濮阳再訪

河南旅游集

平原編1:山东聊城(Liaocheng)阳谷(Yanggu)(景阳岗)よりつづく)
てっきり今来た道を戻って台前を通るのだと思っていたら、台前どころか范县(Fanxian)にも入らなかったみたいだ。莘县(Xingxian)と朝城(Chaocheng)镇の汽车站に入場しながら、范县の目前で西進し清丰(Qingfeng)から河南入りした模様だ。台前は帰りの天津行き列車で通過したが、あの角みたいなところを伝ってみたかったな。広くて整備された道だから国道106号かと思いきや、懐かしき「京开大道」の表示が。国道と並行する濮阳市のメインストリートだ。

6年4ヶ月ぶりの濮阳

聊城から約4時間で市长途汽车站到着。午前中のトラウマもあって、降車したとたん輪タク野郎に腕捉まれそうになるのを振り切り表通りへ出ると、すぐに土地勘が蘇ってきた。濮阳(Puyang)(2008年02月20日)以来の濮阳。もちろん漠然としたイメージしか残っていないが、歩き始めれば主な目印の距離感は思い出せる。ベースの記憶があるから、あの落ち着いたコンパクトな町の印象だった濮阳も、地方中核都市に大変貌を遂げたことが分かる。明らかに交通量が増し、市バスも新型車を導入し街も小奇麗な店が増えた。ラウンドアバウト(回転式)だった胜利路との交差点は渡りやすい十字型になり、通路を兼ねた地下街もできたようだ。一方で等級区分されていた公衆便所もまだ健在みたいだ。歩道上に、日本で言えばミニカー(マイクロカー)みたいな3,4人乗りのヤグそうな車がたくさん陳列販売されていた。
子路の墓は石碑だけだと思い込んでいたが、南向きの祠庙を発見。衛星地図で見ると、その奥に墓らしき墳丘が映っている。また次回。こうして毎回忘れ物をしてくるのもリピートし甲斐があるというものだ。
 古城路。
 戚城公园北門。以前より立派になった気がする。既に閉園時間を過ぎており、古城路を戻る。
 戚城公园東門。もうこの楼閣から見下ろせる屋根は少ないんだろうなぁ。

濮阳县へ

今回濮阳入りしたのは、濮阳县にある张姓発祥の地、挥公陵を訪れるためだ。これは2012年开封帰郷の際、当時河南大在学中の日本人留学生が友人に連れて行ってもらったと聞き、是非自分も行ってみたいと思った。濮阳县は市区から10km程度と近接*1しており、挥公陵はその中心からさほど離れていない。計画では午前景阳岗、午後挥公陵でそのまま濮阳县泊と考えていたが、予想以上に移動時間が嵩んでしまい、せめて景区門前に投宿しようと濮阳县へ向かう。
宿探しの時間帯には多少余裕があり、また公交の運賃システムが分からない*2ので歩いてみることにした。現在貨物専用線である汤台铁路および濮阳站を旅客化するつもりなのか京开大道の跨線橋建設らしき大規模工事が行われており、1kmばかり凹凸のひどい迂回路を行かねばならない。狭い悪路を原付や電動バイクが行きかう。二度と通るまいと思っていたが、投宿できずに市区へ引き返す際は明かり一つない闇でさらに怖かった。小さな踏切と右手に望める濮阳站構内は、計画図に示されるような近代的な駅には程遠く、長閑だった。
鉄路がちょうど市と县の境目で、京开大道も解放大道に名を変える。县北端には龙苑という広場がある。
 さすが中华第一龙(中国最古の龍)発見地。そういえば発掘現場はこの近くじゃなかったか?
2つの客运站がある国庆路との交点付近が最も盛況で、商店が新旧入り混じり立ち並ぶ。二中路・棉花站街には夜市らしき屋台街も開きつつある。安宿も数軒見つけたがあまり営業している風はない。とかく晩飯を、と清真食堂で牛肉烩面。上海嘉定以来のトマトスープで美味かった。夏バテ気味で汁をがぶ飲み。
Google Mapで確認すると、挥公陵を含むらしき张辉公园はさらに南の南环路に面している。そこまで歩けないので、この辺に宿を取ろうとしたが客引きが全然ない。一度それらしい男に声かけられたが「旅行だ」と答えると、「こんな(夜遅い)時間に観光か」と呆れたように去っていった。何を勘違いされたのか。意気消沈して、ただ水分を欲し冰红茶と別の目的で買ったミネラルウォーターを10分程度で飲み干してしまう。汽车站近くのブティックからChris Brownの”With You”が流れてきたのは意外だった。市近隣とはいえ片田舎でこんな深夜でも営業しているのが不思議だ。市区より宿代が安く身分証提示も不要な县宿泊は河南ウォークの基本だけれど、今回は上手くいかなかった。疲労と戦いながら市内へ引き下がる。暗くなってみれば、沿道には怪しげなラブホやモーテルが点在していることに気づく。よほどお世話になってみようかと思った。

诚信旅社

飞龙车站まで来ると、すぐに路地口からおばさんが駆け寄ってきた。たしかにカモではあるが、長途バスの最終便もとっくに着いたであろう23時近い夜中にうろついている人間も変だったのではないか。娘さんらしき女性と二人でパスポートを見るや驚いていた。私の中国語を「とても標準的だ」と言ってくれた。捨てる神あれば救う神もちゃんといるもんだな。宿の名が偶然とも思えないほど、突如出没した外国人にも誠心誠意で応じてくれ、とても感謝している。テレビ・トイレ・天井扇風機付ツイン?ルーム*3で30元。市中泊もまだまだ捨てたものじゃない。今回の旅行期間中ベッドで熟睡できた2晩のうちの一つ。
さて、今夜は一度旅先でやってみたかったことを試した。小学生のころ本で読んだ、「砂漠の中でコップ一杯の水で心地よく眠る方法」。シャワーや風呂のない場所で僅かな水で汗でべたつく身体を清め快適な夜を過ごす技だ。登記と支払いの際、冷たいコーラとミネラルウォーターを買っている。今度こそミネラルウォーターをこの目的に用いる。床を濡らさないよう偶然あった盥の中に立ち、頭のてっぺんから少しずつ水を肌に伝わらせる。コップ一杯とまではいかないが、ボトルの半分程度で十分清々しい気分になれた。残りは翌朝浴びた。

平原編3:濮阳县(挥公陵)へつづく)

(map:濮阳龙苑)

*1:开封市と开封县(現 祥符区)の関係に似ている

*2:2008年時と同じ理由だ

*3:というか路地に幾つかの個室を持っていて自分の住居で鍵と宿帳を管理しているらしい。路地が廊下みたいな。