南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

郑济高铁、部分開業

郑州米の字放射高速鉄道建設プロジェクト(中文で河南省“米”字形高速铁路网という)が完成。最後に言及したのがいつか分からないけど、郑阜高铁(南東、米の右はらい)開通と、郑焦城铁は郑太高铁(北西、米の左点)の一部なのを確認した記事が、一番まとまっていると思う。
jaike.hatenablog.jp
郑州を中心とする高速鉄道網(とりあえずG列車限定とする)の開業は、南北、西、東の順に進行。続いて斜め方向には南西、南東、北西の順に完成したと認識している。偉そうに整備状況を逐一追っているけれども、まだ東西しか利用したことはない。2019年の郑焦城铁(C)乗車時点では部分開業だった郑太高铁は、2020年12月に太原まで全線開通している。焦作発上海虹桥行きのGが开封北を通ることも確認。Cは相変わらず郑州东じゃなくて郑州発着なのだろうか。また、南西方面の郑渝高铁*1は第二次南阳編プランに組み込んである。そして、最後に残ったのが北東方面の郑济高铁だ。
山东省省会の济南市とを結ぶ高速鉄道として2016年に着工、全線のうち河南省区間(郑州~濮阳間)を今年6月22日に先行開業した。この部分開業や工期遅延は、建設ルートに関するいくつかの係争によるものらしい。Wikipedia中文版に面白い文面を見つけた。

豫鲁南北线路之争
济南是山东省会,而长清区和平阴为济南下辖县区。济南市基于该两县区发展的考虑,希望济郑高铁从济南出发,历经长清、平阴以及梁山、菏泽到达开封,然后连接郑州(即南线方案)。此方案优点是铁路一直位于黄河南岸,无需新建黄河大桥;缺点是铁路通过东平湖区,湖水泛滥容易影响高铁安全运行。而河南省则有自己的考虑,由于濮阳作为河南省东北部城市到现在还没有通火车,河南省自然希望新修建的高铁通过濮阳,然后进入山东境内。由此,两省争执不下。最终,山东省让步,郑济高铁经濮阳进入山东(即北线方案)。此方案要在郑州与济南新建两座跨黄河大桥。两省的争执大大延缓了郑济高铁开工时间。
济郑高速铁路 - 维基百科,自由的百科全书

豫と鲁はそれぞれ、河南省山東省の略称。両省間に生じた建設ルート紛争。山東省は梁山、菏泽、河南省开封を経由して郑州に至るルートを主張。いっぽう河南省は、長年濮阳(Puyang)市に旅客鉄道がなかった*2ことから是が非でも濮阳に通したいと、北寄りのルートを主張。

郑济高铁建設ルート係争の図

当然、両省それぞれの案が自省を最大限に通るルートとなっている。個人的には濮阳旅客駅誕生は悲願だし、なるべく鉄道網の漏れた地域を優先すべきだから河南案に賛成したいところ(今更)。山東案では东平湖湖水の運行への影響、河南案では黄河を二度渡るため架橋の必要性(山東ルートは一貫して黄河右岸)がそれぞれ欠点として挙げられている。紛糾の末、山東省側が譲歩して北ルートで決着。また山東省内でも係争が発生し、河南省区間のみ先行着工したようだ。
あらためて百度地图で河南省区間を確かめてみた。省内に関しては親の省当局が諍いを抑えたのかもしれないが、けっこう際どいとこがある。安阳滑县と鹤壁浚县のギリギリ境界に設けられた、滑浚站。ただの县界だけでなく地级市界も絡んでくるので、滑县站あるいは浚县站だったら相当紛糾する。

滑县・浚县と、滑浚站

両県政府の中点を測ったかのような立地だな。
悲願成就の濮阳は、既存の濮阳站を使わず東郊に濮阳东站を設置。濮阳县南沿(张辉公园の南側)を走り真北へ進路を変えて濮阳东に至る。今のところ、「郑濮城际铁路」の様相だね。しかし、長距離バスをいくつも乗り継いだ开封帰郷旅行第3回(2014年)とほぼ同じコースを一本の高速鉄道で結んでしまうって、やっぱすげえなぁ。目下建設中の濮阳より先は、北へやや迂回する形で聊城市へ向かう。阳谷や范县など水滸伝ゆかりの地を大きく回避してくれるようで、史跡保存の観点からも尚嬉しい。
jaike.hatenablog.jp
山東ルートなら梁山や郓城に障ってたかもしれんし、協議に勝ってくれた河南省関係者に感謝感謝。
jaike.hatenablog.jp
ここまで難局が生じたようだけれども、今後は穏便に滞りなく済南まで完工してほしい。

*1:渝は重庆の略称

*2:市域内唯一の旅客駅である台前(Taiqian)站(京九铁路)は優等列車は停まらない