鉄路遊びというと、電車に乗ってでかけたり鉄道を制覇したりすることに限定されるかもしれないが、電車には乗らないで駅だけをめぐってもまた有りである。という定義で今回は遊んでみた。
市営交通の実態をもう少し再確認することである。地下鉄と市バスのリンクはとても大事だけれども、バスがダイヤによって運行されているというよりはダイヤに縛られている印象を受ける。とくに土日祝日は、平日より本数が減り、地下鉄も間隔が長めになる。公共交通が自家用車との戦闘を諦めてしまっている。これは残念なことである。そういうことも考えさせられた。
総合リハビリセンター駅
さて、ナゴヤドーム前矢田から地下鉄名城線右回りに乗車。最初の新駅は「総合リハビリセンター」。もう開業して随分になるが、この駅の地上部には馴染みがないので、改めて訪れてみる。同時開業で隣駅の「瑞穂運動場東」は、山下通りとして印象があるが、当駅はまったくイメージを描くことが出来ない。综合康复中心と癖で漢訳してしまいながら、1番出口を上がる。市道だろうか、割と狭い道だ。名前からは比較的新しい医療機関を想起させるが、実際見るとだいぶ年月が経過しているようだ。今回は珍しく、地上に出て東西南北がしばらく分からなかった。この駅には1番と2番の二つの出口があるが、どっちが東西なのか判断できなかった。それで次の市バスへの乗継に手間取った。結局東方向のバス停から、瑞穂巡回系統右回り新瑞橋行きに乗車、終点の新瑞橋で降りる。
徳重駅(仮)
次の目的地は、南大高駅。だったが、ダイヤの関係で変更になった。とりあえず分岐点である野並までは、地下鉄桜通線で。プリンシェイクをチェックして、当駅から発する2本の南大高駅行き系統の時刻を確認した結果、非常につなぎの悪いことが分かった。行き先の見間違いで、待ちながら書店で時間を潰してしまい、ロスが大きかった。で、矛先を変えて、幹野並1系統緑車庫行きに乗車。当初は満席だったのが、私一人きりになってしまう。天候のせいもあろうが、運行する全区間で乗降を望むのは難しいということが分かる。地下鉄駅から、さらに細部の地域へ行き届く交通機関として市バスがある。そういう役割分担をさせて、地下鉄と同じように縦横無尽に市内を走らせるような無駄な状況を生み出してはならない。
そうしてどこで降りたのかというと、徳重。現在地下鉄桜通線の延伸工事が進められていて、ここが終着駅になる予定である。まだ「新駅」にも及ばない「予定駅」である。もともと宅地整備も済んでいなかったのだろうが、それにしても広大な工事用地を確保したものである。道幅もやや広がって、蛇行している。郑州ではこのような建設風景になるのに1年はかかるだろうなぁ。
雨に濡れながらバスを待って、徳重を離れる。ここから南方向に南大高駅行きを捕まえられると思ったが、これも失敗。逆に北方向へ。原12系統地下鉄原駅行きに乗車、終点で下車。
なかなかたどり着けない、南大高駅
原駅で緑区内の市バス路線図をじっくり眺めた結果、幹原1系統新瑞橋行きに乗車、途中の篠の風北停留所で降車。ここで大高12系統(篠の風停留所)に乗り継ぐと、大高駅に行くことができる。そこから改めて別の系統を探すなり、JRを一駅乗るなりすれば南大高駅にアクセスできると考えた。ところが、バスを降りて篠の風停に向かう途中、見てしまった。大高12系統のバスが同停留所を通過してゆくのを。どうやらここはリンクが巧妙に組まれているらしい。だから1分のミスも許されないのである。ともかくも停留所へ行き、時刻を確認すると1時間に1本。やはりタイミングが大事であった。引き下がり、先ほどと同じ系統の野並行きで終点まで乗って、野並に帰還。
今度はわりあい時間も合って、野並18系統南大高駅行きにありつける。緑区の北西端(野並は天白区)から南東端までの運行なので、結構時間がかかる。少し眠った。大高緑地付近で目が覚め、JR線沿いを走って、いつの間にか又もや私ともう一人の乗客だけになって、漸く南大高駅に着く。西側に巨大なイオンショッピングセンターが隣接する橋上駅である。イオンと駅の間にしっかりしたロータリーがあり、この系統のバスが入る。先月14日に開業したばかりの南大高駅は、2面3線で毎時4本普通列車のみの停車駅。2面3線というと、中国の典型的な駅構造なので懐かしさを覚える(いや覚えない)。東側にも一応タクシーや送迎車両が寄せられる空間と駐輪場があるが、完全に駅裏の装い。
行きも大変、帰りも大変
野並から南大高駅にアクセスできるもう一本の系統は、この駅裏に停留所(南大高駅東)がある。帰りはこれを利用しようと時刻表をチェックして愕然。1時間以上も待たねばならない。逆方向のバス停が見当たらないので、適当に歩いてゆくうちに路線そのものを見失った。同時に日は暮れ、名古屋市外に出てしまい、おまけに方向が分からない。有松インターチェンジなど自動車道も入り組むこの地区をかなり彷徨った。暗くて足元すら危ういところをひたすら名古屋市バスの停留所が見つかるまで歩く。そうしてやっと見つかったのが、有松インター北停留所。バスは30分以上なかったものの、見当のつく場所に出られた安堵感が大きかった。予想される路線をたどって、探していた停留所「有松町口無池」を見つける。真っ暗闇の中、交通量の多い片側1車線の道路脇に立っていた。走りすぎる車を気にしながら、しがみつくようにして時刻を見る。10分ほどで乗車できた。要町11系統要町行きで終点まで乗車。名鉄有松駅などを経由する。
要町から金山駅行きが簡単に得られるだろうと思いきや、全然時間が合わない。夜8時ともなると終バスが迫っているのだ。これもかなり暗い停車場で佇みながら待ち、神宮15系統神宮東門行きに継ぐ。終点一つ手前の熱田伝馬町で下車、伝馬町駅から地下鉄名城線左回りを利用して帰宅。
合理化で本数を減らされたバスは、結構使いにくい。最低でも20分に一本は維持すべきだと思われる。そういえば、篠の風北停留所の時刻表下部に、各系統ごとの「100円の収入を得るのにかかる費用」が示されていた。100より小さなものは青色、大きなものは赤色で数字が書かれている。即ち、その路線が赤字か黒字かということである。こんな情報の提供は市民が公開を求めたのだろうか。この系統は採算に合わなくなってきているよ、という警告を乗客に示しているようでもある。
おわり