いよいよこの交通システム試乗を記事にするときがきた。留学先の大学で聞いた噂がついに現実の鉄道線となり、郑州と开封を結んだ。城际公交だけでなく自転車でも走破した郑开大道、その沿道を和谐号で走り抜ける時代がやってきた。帰国してからも逐一敷設情報を追ってきた南蛇井には大変感慨深いイベントである。
主な研究記事:城际线について - 南蛇井総本気
日本へ帰国後の2009年末に着工。2012年帰郷時は友人から建設工事が進んでいることを知らされ、2014年では実際に郑开城际公交の車窓より工事の進展を確認している。また、時折日本でも百度などの衛星地図を利用して高架線や駅の建設状況を追尾中。
開業は2014年12月28日。逐一フォローしてきた割には、試乗に3年近くも経てしまった。
郑开城际铁路詳報 - 南蛇井総本気
フォロー時代はずっと日本の私鉄のような民営鉄道だと考えてきたが、れっきとした中国鉄路(国鉄)の一部である。同時期に開通した新郑国际机场や焦作(Jiaozuo)とを結ぶ都市間鉄道にも接続あるいは直通している。
それでは前日のつづきを経て、いざ开封へ。
(周口-驻马店編4:周口淮阳(Huaiyang)太昊陵よりつづく)
漯河~郑州
漯河駅前の朝は閑散としている。どこかちょっと朝飯食えるトコはないかと探したら、一坪くらいの狭い店内と表の小机で何か食べている人々があったので、1元で包子を買った。
漯河の駅構内は开封みたくガランとした建物で、2階もありそうだが1階の2フロアだけ使用している。紙製の红票といい、在来線らしい駅舎といい、少し懐かしい鉄路トリップ。高速鉄路の発達に伴い、漯河に停車する快速の本数も減少した感あり。
そして、実に8年ぶりの无座。いかに電子発券システムが適切な座席手配をしているかが分かる。初めて信阳との往来で利用した郑州以南の京广铁路*1も、やはり无座であった。昔のように連結部分のトイレ脇などに佇むのだが、歳のせいか2時間半は案外余裕じゃなかった。乗務員室から流れてくる音楽ぐらいしか気を紛らすものはない。临颍で通過列車待避のため時間を押され、12分遅れで郑州着。
地下鉄乗継効率のため西口へ。まず、7日夜の武汉行きの切符を購入。狙い目のK1347(22:27発)を意図して「22時半」と伝えたのに、22:46発の特快を配給されて心外。到着時刻が朝早すぎて、地下鉄始発まで間があくのが嫌だ。〔列車情報:T253次、郑州22:46発-武昌03:51着、硬座75.0元〕*2
地下鉄1号線で郑州东站へ移動。ここ3年の間に1号線は両端とも延伸している。とくに東端の河南大学新区は、自身が在籍した明伦校区や理工系の新キャンパス金明校区とは別に、郑州市で新設された国际学院の校区である。名称からすると留学生もこちらに移転してそうで、开封の河南大学を愛する者としてはなんだか心配。
郑州~开封
こんな巨大な高速列車集散地でGとCが一緒くたのはずがない、と城铁専用出入口を探したが、コンコースには売店と出站口しかない。やむなく東端の総合售票厅で切符を買う。時間帯のせいなのか、駅規模のわりに窓口ひとつ開き数人の列で間に合っているのは些か不自然だ。高铁の「开封北站」との誤配を避けるため、敢えて「开封宋城路」と指定してみる。郑开城际铁路は、京津城际铁路や他の大都市圏高速鉄路と違って20~30分間隔で頻繁に発着しているわけではない。一日15往復程度と本数が限られている。時間の都合により13:11発のC2808次を逃したため、約1時間半後の14:55発となる。実はこの間に开封北へは2本のGが走っていることも承知の上で、城铁にこだわる。〔列車情報:C2810次、郑州东14:55発-宋城路15:29着、二等座18.0元〕*3
この待ち時間こそ、私にとって中国の空港や鉄道駅ならではの方便面を食べる絶好の機会だ。
以前より麺が細めで縮れ気味になり、日本の即席めんにだいぶ近くなった。一見すると日本の台湾ラーメンと大差ない。一方で折り畳み式だった簡易フォークが短いストレート型になり、些か食べづらい。この红烧牛肉方便面は、持ち帰って日本人に食べさせてみたい中国味覚の一つだ。
城铁の改札口は待合ホールのちょうど中央にある。车次によって多少の変動はあろうが、やっと専用の入口を獲得した形。
改札直前になると、思ったより長蛇の列ができる。20分前よりもやや遅れて開場となった。高速鉄路では発車5分前に締切となるので注意。
列車は郑州东を発するとまず少し北進し、右へ大きく転回する。南北方向の駅から東へ進路を変えるためだ。もともと郑州东站より真東へ延びている金水路へ向かって、东风渠に沿って戻っていく。郑开大道と並走し始めると、南側の車窓は高層住宅群の連続だった。完工済みも建設中も含め、一つ途切れたと思えば、また次の区画、少し離れてまた一つと、延々と高層住宅群が散在している。遠くを見やっても同じように超高層団地が点在している。まるで郑州と开封の市街地はニュータウンで繋がってしまったのではないか、と猛烈な不安に駆られるほど宅地開発は凄まじかった。幸い、唯一の途中停車駅「绿博园」でこの嵐は踏みとどまっていた。その先は田園と雑木林と枯れ川の見慣れた平原が続いていた。ただ、今までは郑开大道の路面から眺めていた風景を、高い位置から望むのは新鮮だ。绿博园までは抑えていた速度も、この区間では250㎞/hに迫らんとする勢いで圧倒させる。ちなみに全区間内の途中駅は绿博园を含め10駅(現状は3駅)設定されているが、ほとんど停車しない。また、計画上の終着駅は开封站である。
観光都市开封の新しい玄関口となった、宋城路站。かつて市街地の南西端であった宋城广场よりも2㎞ほど西にある。
向かって右手が出站口、左奥が售票处である。
駅前広場は旅游中心と一体化で大きな屋根に覆われている。この建物の裏が郑开城际公交や开封公交のターミナル。二階建てバスの旅游专线「观光2路」も発着しており、主な観光名所を挙げながらツアー客の呼び込みがかしましい。無論私はといえば、歩きなれた我が故郷开封到着に心沸きたち、足どり軽く路上の公交站へ向かうのだった。
もはや乗り馴染んできた和谐号だけど、郑开城际铁路の車両として別格のオーラを感じる??
郑开城际铁路 完(「开封帰郷旅行2017」は8日までつづきます)
(map:开封宋城路站)