南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

飞云浦

飛雲浦(ひうんぽ)

水滸伝における武松の名シーンの一つ。武松が施恩を助けて快活林から追い出した蒋門神は、新たに孟州へ赴任した張総督と結託して武松を冤罪に貶める。流刑となり、孟州から恩州への護送途中で蒋門神の手下が暗殺しようとしたところ、武松の返り討ちに遭う。その現場が飞云浦だ。谷あいの不気味な場所として、ドラマには描かれる。
長らく飞云”坡”だと思い込んできたが、”浦”で正しいらしい。十字坡や野猪林に倣い、ここも現在地を特定してみたくなる。
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物語では孟州を出て間もないところとして描かれ、また暗殺者や護送兵を殺したあと蒋門神や張総督を討ちに引き返しているので、孟州からさして離れてはいないと思う。
飞云浦と検索かけたら、真っ先に开封の大宋武侠城が挙がってきて一瞬笑った。いやいや、そこじゃなくて(笑)、それはそれで見に行きたいんだけどもね。あと、近年の水滸伝ドラマの飞云浦ロケ地だという、安徽省の地名も出てきた。
で、肝心の飞云浦旧址に関しては確かな特定情報がなかった。孟州(焦作市)と恩州(現在の河北省清河县)との間だろう、というのが通説で、詳しい地点は曖昧だった。清河といえば古今で位置は異なるだろうけども武松の故郷でもあるよな。真っ直ぐな性根が災いして色んな人に裏切られ、失意のまま帰郷するのは耐えがたくて賊の道を選んだのかもしれない。
一つだけ具体的な場所として注目に値したのが、

是今孟州东2公里老蟒河桥处,河水由上游10公里白墙水库而来,现如今是漂亮的滨河公园。

蟒河といえば济源市中心部を流れる川として見覚えあり、济源から孟州を通り黄河に注いでいる。現在の孟州近郊、当時にしても孟州城を離れた片田舎というロケーションはまぁ頷ける。

孟州市街(北東部に滨河公园)

実際の滨河公园に飞云浦を示すものは一切なさそうだから、こじつけ感は拭い去れない。でも公園の傍らに快活林公馆という住宅区を見つけて、何らかの意識はしているなと思った。再訪したい济源に近く、孟州の街はずれという好条件なので一度行ってみてもいい。